『サル化する世界』


「今さえよければ、自分さえよければ、それでいい」という世の中になったというが、昔は本当にそうでなかったのか明らかにされておらず、パオロ・マッツァリーノ風にいえば「昔は良かった病」の誹りは免れないように思われる。政治体制論と教育論に多くの紙面が割かれているからなおさらそう思うのかも。

それでも、心に残る内田節はあった。
「にこにこ機嫌よくしていないと危機は生き延びられません。眉根に皺寄せて、世を呪ったり、人の悪口を言ったりしながら下した決断はすべて間違います。すべて。ほんとにそうなんです。不機嫌なとき、悲しいとき、怒っているときには絶対に重大な判断を下してはいけない。」(246p.)
「若いときからずっと仕事漬けで、家事も育児も介護もしたことがないという男性の場合は高齢者になったときに、本当に手が負えなくなると思います。生活能力が低すぎて。」(250p.)
「日本は、世界初の実験事例を提供できるんです。人口減少社会を破綻させずにどうやってソフトランディングさせるのか。その手立てをトップランナーとして世界に発信する機会が与えられた。そう考えればいいと思います。」(p.257)

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