今月の法話の会は2月15日が近いのでお涅槃の話。当寺に伝わる涅槃図に登場する人や神様を調べてみた。
雲上からやってきたのはお釈迦様のお母さん・摩耶夫人(マーヤー)とお供の天女たち。天界から最後の説法を聴きに来たという。お釈迦様の病気が治るようにと投げた薬袋は、沙羅双樹にひっかかって届くことはなかった。
雲の上で摩耶夫人を先導しているのは阿那律尊者(アヌルッダ)。不眠の誓いを立てて視力を失ったが、心の目が開いて天眼第一と呼ばれた。お釈迦様の入滅が近いことを摩耶夫人に伝えに行った。
日光と月光をもっているのは阿修羅(アスラ)。八部衆のひとつで、日食と月食を起こす起こす神様と考えられていた。
頭に鳥が乗っかっているのは迦楼羅(ガルーダ)。八部衆のひとつで、鳥の神様。
頭に龍が乗っかっているのは難陀龍王(ナンダ)と跋難陀龍王(ウパナンダ)。八部衆のひとつで、竜の神様の兄弟。
頭に白象が乗っかっているのは緊那羅(キンナラ)。「人だろうか」という意味の名前の八部衆のひとつで、人に似て人ではないことからお経では「人非人」とも呼ばれる。あと頭に蛇が乗っかっている摩睺羅伽(マホーラガ)もいるはずだが当寺の涅槃図では確認できず。
お釈迦様の近くにいる白い肌の僧形(ほかの僧形はみんな肌が茶色)は地蔵菩薩(クシティガルバ)。お釈迦様が亡くなってから56億7千万年後、弥勒菩薩が登場するまで人々を救済する役割を担うとされる。
お釈迦様の枕元にいる鎧姿の神は、北方を守護する多聞天(ヴァイシュラバナ)。毘沙門天とも呼ばれる。枕元にいるのは、北枕であることを表している。ほかに鎧を着ている南方増長天、東方持国天、西方広目天がいるが特定できず。
お釈迦様の足を触っている老女は、涅槃経に登場する欝婆尸女(ウパーシカー)。仏足を礼拝した在家信者で、齢101歳だったという。
宝床のすぐ下で泣き伏しているのは、侍者の阿難尊者(アーナンダ)。お釈迦様と一緒にいる時間が長かったので多聞第一と呼ばれる。もうひとり、俗衣姿で泣き伏している純陀(チュンダ)がいるはずだが確認できず。純陀はお釈迦様に最期の供物(キノコ料理だったとも、豚肉料理だったともいわれる)を供えた人物で、供物を捧げている姿で描かれることもある。
その阿難尊者を介抱しているのは、阿那律尊者(アヌルッダ)。天界に摩耶夫人を迎えに行った人物と同一人物である。阿難尊者が悶絶して死んだようになってしまったので、水をかけて起こし、慰めたという。
手前にいる赤い肌の2人は金剛力士(ヴァジュラパーニ)。武器である金剛杵を置いて嘆いている。その間にいる緑色の鬼は速疾鬼(ヤクシャ/ラークシャサ)で、人食いだったが仏教に帰依し、八部衆のひとつにも数えられる。
手前にいる子どもは迦葉童子。摩訶迦葉とは無関係。次世代に法を伝える人物として登場し、お釈迦様によく質問をしたという。
涅槃図はどこのお寺にあるのも同じように書かれいるものですか?また、登場する人物は人数もおなじなのでしょうか、
基本は同じですがいろいろ流派があって、ないものもあるそうです。特にネコが描かれているのは珍しいとか。