コルカタ(1)アジア協会








インド唯一の地下鉄。思いの外近代的だった
コルカタの地下鉄

逃げるようにしてヴァラナシを後にした私が向かったのは、インドで3番目に大きい都市コルカタ(カルカッタ)である。特急ラージダーニ号を使えばもっと早いのだが、夜中に着いては宿の手配が面倒だからと、夜行列車を使って朝到着する便を選んだ。
列車の同じコンパートメントでは2人に子どもを連れた夫婦と同席。プリンスという名前の赤ちゃんは1才ちょっとで人形のようだったが、オムツをしておらずあたりにしょっちゅうおもらしをしている。女優のカジョールをちょっと思わせるお姉ちゃんは退屈そうで、ちょっとふざけてはお母さんに引っぱたかれていた。
劣悪な環境のせいか赤ちゃんが泣いてなかなか眠れなかったのに、今回はLB―1段目の座席ベッドだったので朝6時に親父に起こされる。UB―3段目を借りてごろごろしているうちに、ハウラー駅に着いた。
コルカタにはコルカタ駅というものがない。ターミナルになっているのがハウラー駅と、シアルダー駅の2つだ。ハウラー駅で降りた場合、市内にはフグリー川を越えていかなければならない。船も出ているが、たいていはバスかタクシーに乗ってハウラー橋を渡る。駅前にはメーターのタクシーがずらりと並んでいる。
コルカタでの目的は写本調査。イギリス人ウィリアム・ジョーンズが1784年に創立したアジア協会は蔵書2万、写本8千点をもつインド最大級の図書館だ。今もなお高い水準の研究活動が行われており、世界の学者がここに来て調べものをしている。前もって1ヶ月も前に手紙を送っていたが、よく伝わっていなかったようで、手続きは全部最初から。
しかしここでプネー大学のジャー先生の名前が効いた。ジャー先生はご当地ベンガルの出身である上に、来月ここで集中講義を行うことになっている。ジャー先生の名前を出すと、手続きはどんどん進み、お目当ての写本を見てコピーを頼むところまで一気に進んだ。最初はパスポートを見せろとか行っていたのに大違いである。
それからアジア協会で最近出版された本を購入して、ひとまず宿を探すことにする。すぐ近くにやたら豪華なホテル「ザ・パーク」があったので値段を訊いたら1泊8000ルピー。本を買いすぎて荷物がすごいことになっていたのと、旅行の疲れも溜まってきていたので、インド居住登録証を見せて6000ルピーで泊まることにした。これは9月にT氏と泊まったムンバイのオベロイタワーズに次ぐ高級ホテルだ。
さすが高級ホテルだけあって、本の荷造りと発送、翌日の切符予約、近くの見どころやネットカフェの案内まで至れり尽くせり。テレビでトムとジェリーを見ながら、快適な一夜を過ごす。食事は外の安い店で食べたが、立ち食いのチキンカバブ・ロールや、レストランの魚料理が美味で、ヴァラナシで食べられなかった分を取り戻すことができた。

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