地元で在日ドイツ大使V.シュタンツェル博士の講演会があったので聴きに行ってきた。大学で日本学を学び、京都大学にも留学していたということで、日本語で話す。
なぜドイツ大使が山形の片田舎に来るのかというと、地元の長井市が、ドイツ南部のバートゼッキンゲン市と30年移譲前から姉妹都市を結んでいたからである。今年のはじめに、協会の会長と市長がドイツ大使館でお願いして実現に至ったという。→長井・バートゼッキンゲン友好協会
講演は「市民交流〜未来への懸け橋」というテーマで、日独交流150周年を迎え、ドイツと日本は政府よりも市民レベルで交流してきたという歴史を振り返った。沖縄の宮古島にドイツ村がある理由とか、福沢諭吉がドイツ(プロイセン)に通訳として行った話とか、興味深い。
講演は30分ほどで終わり、その後45分も質問コーナー。脱原発、領土問題、ユーロ危機、経済連携など話題は多岐に及んだが、大使はひとりひとり丁寧に答える。私は教育について、希望やしっかりとした価値観を示せない中、どのような理念をもって子供に接するべきか尋ねたところ、子供ひとりひとりの性格を見て、それに合わせた教育があるべきであり、社会としては広い選択ができるようにしておくのが望ましいというような答えだった。
感心したのは論理的な明快さ。「というのも」といって意見には必ず理由を添えるし、「3つあります」とはじめに言って説得力をもたせる。理由を既に述べている意見についてのみ、「やはり」を用いる。こういう教育なんだろうと思った。
第二部はレセプション。友好協会の会員や商工会議所関係者など100人以上が集まっていて、日本の親独ぶりを垣間見る。山形交響楽団による独日国歌演奏、地元出身のソプラノ歌手によるオペラ「ゼッキンゲンのトランペット吹き」の演奏、獅子舞など豪華に盛り上げた。
協会の会員に気軽に記念撮影に応じる大使を捕まえて、ドイツ語で自己紹介。ほかにもドイツ人が何人か来ており、そのうちハイデルベルクの方と知り合いになる。ハイデルベルクは熊本と姉妹都市になっているそうだが、ドイツイベントということで来ていたようだ。その方は日本人と結婚していて、子供がジャニーズに入ったので、奥さんと子供だけ日本に住んでいるのだという。「今度はドイツで会いましょう!」といって別れた。
日独交流150周年には、当初150のイベントを行う予定だったのが、180にもなってしまったとのこと。いずれも若者をターゲットにしたものだったそうだ。大使はブログをもっているというので見に行ったら、この日の記事が翌日にはもう作られていた。忙しいだろうに、すばらしい。