いい加減

8月は国際議論学会、盂蘭盆会、山形ゲームコンベンション、祖父の七回忌と行事が立て込んでいたが体調を崩すこともなく無事に乗り切った。まずはめでたしというところ。ただ残念なことに、ほとんど山形にいたので妻と娘と過ごした時間がほとんどない。成田空港まで車で送ってもらったが、あと3ヶ月以上会えないかと思うと胸が詰まって言葉が出なかった。
 さて日本で1ヶ月いるうちに、自分で分かる、インドに1年生活した成果があった。それはいい加減さ。もともと段取りなどは得意な方でなかったが、確実なものが期待できない行き当たりばったりの生活にすっかり慣れてしまい、日本でもその癖が出た。よく確かめないで物事を進めるので必ず1つ2つ抜け落ちたり間違ったりする。前のことはすぐ忘れる。その場のノリで無責任・無根拠な発言を平気でしてしまう。面倒くさいことは全部「明日」(先延ばしするだけで明日必ずするということではない)。そのお陰で何度か痛い目にあったのだが、さらにタチの悪いことに全然こたえない。自分の都合のいいように解釈して片付ける。
 こう書いてくるとインド人そのもの、日本では適応できないように見えるが、意外と何とかなるものである(と考えるところがいい加減なのだが)。何より精神の健康にとてもよい。いい加減はいい加減なのだ。何事にも完璧を期するあまり、ストレスが増大したり、自信を喪失したりするよりはずっとよい。結果としてたくさんの人に迷惑をかけてしまうのは避けられないが、人は生きている以上迷惑をかけあうものとまで考えられればもう言うことなし(救いようがないとも言う)。
 インドは訪れる者の性格を変える。まさかこんなかたちで変わるとは思ってもみなかったが(いいのかなあ?)。



 今年の6月から、JALのデリー便は新しい機種が導入された。各席に液晶画面がつき、オンデマンドで映画やゲームが楽しめる。日本到着便は深夜である上に、8月初頭に帰ってきたときは風邪でブルブル震えていたのでそれどころではなかったが、今回は満喫した。
 はじめに「8時だよ全員集合」(約90分)。前から見たいと思っていたDVDからの抜粋だ。1980年前後の舞台ライブばかりで大道具に頼ることが多く、円熟期の掛け合いが楽しめるコントが少なかったが、ドリフターズのメンバーがかもし出す独特のおかしさは堪能できた。「大爆笑」のDVDが売り出されないかな。
 そして「笑点」(約20分)。ワンパターンと知りながらもおかしい。私は喜久蔵師匠のどうしようもないダジャレが好きだ。こん平師匠が座布団10枚でタヒチ旅行をゲットしていた。「日立じゃないでしょうね?」うまい。
 それから邦画「バーバー吉野」(約2時間)。男の子は伝統的にみんな吉野刈り(=マッシュルームカット)という謎の村に、東京から茶髪の転校生がやってきた。伝統の吉野刈りにこだわる母親と、大人にめざめつつある息子とその友達の葛藤を描く。母親役のもたいまさこが好演。
 さらに韓国映画「花嫁はギャングスター」(約2時間)。かつて50人の男たちを倒したという伝説をもつヤクザの女組長ウンジンは、幼いころ生き別れた姉がいた。久しぶりに会った姉は癌に冒されており、余命いくばくもないことを知る。姉の願いはウンジンの結婚。そこでウンジンはウダツの上がらないサラリーマンを騙して結婚する。だがやがて彼女がヤクザだということがばれてしまい……。笑いあり涙あり、構成や伏線もうまく組み入れられており、とても面白かった。韓国映画は2,3本しか見たことがないが、どれも面白くてもっと見たい。
 そのほかにも「スタンド・バイ・ミー」「デイ・アフター・トゥモロー」などの米映画を見たかったが時間がない。そこで麻雀を一局(30分)。フリテンでも上がれてしまう(当然チョンボ)というソフトは初めて。1度それをやらかしてしまったが、1度も振らずに満貫2回でトップ。上がってから「ああ、そんな役もあったか」というぐらいのブランクぶり。
 そんなことをしているうちにデリーに到着。日が暮れているのに34度という暑さである。これからまたインド暮らしが始まる。

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