ある檀家さんが亡くなったらしいと風の噂で聞いたのが昨年末。離婚されてからの孤独死だっただが、お寺に連絡はなく、葬儀もしていなかった。ずっと気にかかっていたのだが、今年になって都内に住むきょうだいから連絡があり、その方が亡くなったこと、火葬されたがお骨の行方はわからないこと、先祖の墓じまいをしたいことを告げられた。
しかし一体お骨はどこへ? 以前の電話番号はもう通じなくなっており、火葬に立ち会ったらしい元妻さんを訪ねてお聞きするのも気が引けていたが、別件で石材店に行ったとき、それなら市の霊園にあるのではないかとのこと。早速市役所に行って聞いてみたところ、ようやく在り処がわかり(幸いなことに骨壺で保管)、きょうだいから同意をとって、お骨を市の霊園からお寺の永代供養墓に移すことになった。
石材店さんに持ってきて頂き(骨壺に名前がなかったので、全部開けて確認したそう)、血脈と塔婆を用意して授戒。お母さんの法事もあったので一緒にお経を読んで供養した。住職になって初めての、参列者のいない葬儀である。
お元気な頃は家族皆でお墓参りに来ていたのを思い出すと、その方がどんな思いで最期を迎えられたのか胸が苦しくなる。無縁仏ではなく、親と一緒に埋葬されることが叶ったのがせめてもの救いだろうか。コロナ禍で親戚とも連絡がなくなり、独り暮らししている方が多い現状、このようなケースは今後も出てくると思われる。