『スマホ脳』

著・A.ハンセン(新潮新書)。人類が誕生して1万世代の本能は簡単に変わるものではなく、報酬システムを満足させるスマホは依存症になりやすい。ジョブズもゲイツもこのことを知っていて子どもにiPadやスマホをもたせなかった。どう危険なのか、どう対処するのかを考察している。

進化生物学的な説明とならんで、説得力を高めているのが数々の実験結果だ。

  • スマホを教室の外に置いた学生の方が、サイレントモードにしてポケットにしまっていた(使っていない)学生よりも記憶力・集中力がよかった
  • 学生に紙とペン、パソコンで講義のノートを取らせたところ、紙に書いた学生のほうが内容をよく理解していた
  • 現実で人と会う人ほど幸福感が増すが、フェイスブックに時間を使う人ほど幸福感が減っていた
  • SNSを1日30分までにしたところ、うつ症状があった人の症状が改善された
  • スマホを使っていない人が3ヶ月スマホを使用したら、報酬を我慢して先延ばしにするのが下手になっていた
  • 小学生に紙とタブレット端末で短編小説を読ませたところ、紙のほうが内容をよく覚えていた
  • 記憶力・集中力・言語能力のテストは、スクリーン2時間未満、睡眠9~11時間、運動をしている子どもの成績がよかった
  • 不安に陥りやすい大学生にトレーニングを週3回×2週間させたところ、不安の度合いが下がったが、心拍数が上がる運動(ランニング)をしたほうが効果が顕著

検索するとすぐ忘れる「グーグル効果/デジタル性健忘」の原因は別の場所に保存されていると思うと安心して自分では覚えようとしないこと、ブルーライトは脳に「さあ起きろ、油断せず警戒を怠るな」という指示を与えて体内時計を巻き戻すだけでなく、空腹ホルモン「グレリン」が増え、脂肪を貯めやすくなることなど、新しい知見も得られた。

ちょうどスマホに切り替えて半年ほどだったので思い当たることもあり、寝室に持ち込まないなど、距離をおいて付き合うよう心がけている。子どもたちには高校入学からもたせ、十分な睡眠と定期的な運動をセットにすることが大切そうだ。

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