来年小学校に入学する子供たちの「就学時健診」で、一緒に来ている保護者に1時間前後、お話を頼まれている。
ある学校で「みなさんのお子さんは6年生の女の子が面倒を見ていますからご安心下さい」と先生。「どうして女の子なんですか?」「男の子は希望者がいなくて……早く家に帰ってゲームやりたいんでしょう」「うーん、今どきそういうのは適切じゃないと思います」
ほかの学校でも、女の子だけがお世話しているところがあるようだ。何か合理的な理由があれば別だが、できれば男の子もお世話したほうがよいと思う。それは女の子にばかり面倒を押し付けるなという意味ではなく、他人をケアする力は男の子にもこれから先、等しく求められるからである。
下級生や後輩の面倒を見るのは、将来どんな仕事についても、結婚や子どもをもつことをするにしてもしないにしても、きっと役立つ貴重な体験となる。男の子はそのような機会を奪われがちで、大人になってから何をしたらいいかわからなくて苦労している(あるいは女の人に苦労させている)男の人がたくさんいる。
お世話するには相手が何を望んでいるかと、それに対して自分に何ができるかをマッチングさせる訓練が必要だ。学校でも家庭でも、男の子にもっと細やかなお世話や気配りを求めたほうがいいと思う。