著者は『高学歴ワーキングプア』の方で、どちらも身につまされます。
寺院関係者には結構知られた話が多く、またレポートと仏教豆知識が混在していて、『寺院消滅』(日経BP社)ほどのインパクトはありませんが、廃寺になった福岡のお寺で檀家さんを組内の寺院で平等に分配しようとしたという話や、副住職が非正規でアルバイトしている話、教条主義に陥る若い僧侶の話など印象に残る話もありました。
今後の寺院経営として、本堂の減価償却費積み立て、住職雇用制度、収支の公開、庫裡の個人帰属、家族の僧籍取得などが提案されていますが、どんなに工夫しても人口減少・過疎化の中でお寺を維持していくのは間違いなく難しくなっていくでしょう。お寺単体では赤字で、副業(本業?)の収入を持ち出してお寺を維持している方もいらっしゃいます。非正規兼業、お布施ダンピングなど、信仰の名のもとに実はブラックになっているかもしれない労働環境は身近に迫っていると感じました。