東京学芸大で因明(インド論理学・討論術)の研究会。「因明」とはお釈迦様の教えを正しく理解し伝えるための学問として、声明などと並んで中国・日本でも学ばれてきた学問であるが、残念ながら現在は廃れてしまっている。博士課程の研究がこれに関わるものであったため、お声を掛けて頂いた。
研究会では陳那(480-540)の『因明正理門論』(サンスクリット原文散逸、漢訳のみ現存)を、最近正倉院から発見されたという注釈で読解。分かりそうで分からない中で考え続けるという感覚は久しぶりである。
般若経に「理のごとく思惟せば」という言葉がある。論理的・批判的な目で教説を見ることはどうしてもタブー視されてしまうが、一般の方にも納得して頂けるものを目指すならば、不可欠な作業だと思う。