先月と今月、地元の市民講座「まちの楽校本町館」で4回にわたって、サンスクリット語講座を開いた。
ボードゲーム講座はずっと続いているが、賑やかしにもう1講座ということで仏教哲学、ドイツ語会話とやってきていよいよ本丸。「インドの古代語サンスクリット語を初歩から学び、『般若心経』を原文で読むことを目指します。」という説明で開講を申し込んだ。平日の昼間で受講者3名。
まずは文字を読むところから。1回目は母音と子音、2回目は複合子音を学んだ。小学1年生がひらがなを学ぶように、ホワイトボードに1文字1文字書き順を書いて書き写す。主な母音だけで11、子音は34、複合子音は『般若心経』に登場するものだけで42もある。
日本語になったサンスクリット語を挙げて、何と読むかクイズをしたりしてからいよいよ『般若心経』へ。自宅でできるだけローマナイズしてきてもらって、確かめながら進める。
3回目にはa語幹の男性名詞とaa語幹の女性名詞の活用表を渡して、格も確かめた。サンスクリット語には格が8つ、さらに単数・複数形のほかに両数形があり、1つの単語が24に活用することになる。『般若心経』ではほとんどが主格単数だが、ところどころに別の格があって、重要である。その意味を取ると、漢訳では分からなかったニュアンスがよく出る。
漢訳も適宜対照した。「一切皆苦」に対応するサンスクリット文がなかったり、逆にサンスクリット文にあった箇所が削除されたりと、一致しない箇所が多いことを確認できた。
解読だけではなく、五蘊・十二支縁起・四諦などの教義や、観音菩薩とシャーリプトラの関係、空とゼロ、密教と真言などについて解説し、参加者とディスカッションできたのがよかった。
このところドイツ語ばかりで、サンスクリット語はご無沙汰だったが、昔取った杵柄か。受講して下さった方のおかげで出力できたことに感謝したい。