『超訳 ブッダの言葉』や『偽善入門』などを著し、このごろメディア露出度が高い僧侶、小池龍之介師が、浄土真宗から破門されていた。仏教教団で最も思い罰である波羅夷(教団追放)である。
破門の経緯は、小池師のお寺のホームページに記載されている。浄土真宗と異なる教義を流布したことが原因で住職申請が認められず、お寺を宗派から離脱・単立化させたため、他宗派の寺院を設立して活動してはならないという規定に基づき、破門されたということのようだ。
浄土真宗と事なる教義を流布したことについて、小池師は「仏教とは釈迦の教えを根幹にしたものであり、浄土真宗も仏教である以上は、釈迦の教えに学ぶのも修行をするのも決しておかしなことではありません。釈迦の教えと浄土真宗の教えが相反するというのであれば、浄土真宗は仏教ではなくなってしまうということにならないでしょうか」と反論している。
小池氏は東大教養学部(ドイツ地域文化研究)卒で、理論派僧侶として「解決!紳助の駆け込み寺」にも出演していた。瞑想をよく説くので、破門よりも真宗の僧侶だったことに驚いたくらいだ。
私もその傾向があるが、理論派というのは原理主義に走りやすく、初期仏教(テーラワーダ仏教)に惹かれていく。初期仏教は、これまで「小乗仏教」と揶揄してきた南伝仏教に多く伝わっており、仏教学の成果もあって近年ようやくその内容が日本に知られ始めている。
ところが日本の伝統仏教は、中国経由で長い年月を経て伝えられてきたものだから、初期仏教とは様相が異なる部分が多い。初期仏教も伝統仏教も重んじて、両者のギャップをどう解決するかが、現代の日本僧侶の課題となっている。小池師も当然この意識はあるのだろうが、反論からは主従関係(浄土真宗が従)が垣間見れる。これでは異安心と取られてしまうだろう。