2007年に発売された『お坊さんが困る仏教の話』の続編。前著はお寺の歴史や日本人の宗教観を分かりやすくまとめたものだったが、今度はさらに一歩踏み込んで、現代のお寺が抱える問題を説く。
現代のお寺が抱える問題として本書で挙げられているのは後継者不足による空き寺化と、本山(教団)への多額の上納金、葬儀の寺離れである。
空き寺化は、高齢化、結婚難、少子化によって引き起こされている。近くのお寺の住職が掛け持ちすることになるが、もう後任者を探すこともなく、「お坊さんが居ない方が、金がかからなくて助かる」という総代もいる。またこれに関連して、貧乏寺と金持ち寺の格差も広がっている。採算分岐点の檀家400戸を下回るお寺(うちもそうだ)は、お寺の維持のために副業も考えなくてはならない。
さらにお寺の重要な収入源である葬儀が、本堂ではなくホール葬になったり、直葬・自由葬が広がったりするなどお寺を必要としなくなりつつある。東京で菩提寺をもたず、いざとなってからお寺を探す人たちを「お寺難民」は、葬儀社が紹介する嘱託のお坊さんを頼んだり、テレビのチャンネルを変える気安さでお寺を選ぶ。
本山(教団)への上納金は、小さな寺で年間十万単位、標準的な寺になると百万単位になるという。さらに僧階による賦課金、大遠忌や本山の修復など何十億円の事業に臨時の負担がある。これがお布施に反映される。こうした多額のお金が社会に還元されているとは言いがたい。宗派を超えて集めて、ホスピス病院を建ててはどうかと提案した松長有慶・真言宗管長が紹介されている。
著者は伝統教団の中からルターのような改革者が出てくること、宗派を超えて住職の再研修を行うこと、檀家制度をやめて会費制・加入退会自由の護持会システムに代えること、尼僧の結婚を男性僧侶並みに一般的にすることなどを提案する。
このようなお寺を取り巻く状況は1,2年といわずどんどん厳しくなっており、私も強い危機感を持っている。帯の「檀家さんの我慢は、もはや限界寸前。」というのは肝が冷えるが、それ以上に、こうした危機的な状況を知らない檀家さんが多いだろうことを危惧する。檀家さんとこうした問題意識を共有しつつ、宗派やお寺の規模などの壁を乗り越えて協力できることを模索していきたい。
私の知人の僧侶の方も同じようなことを言います。曹洞宗の方ですが、お寺は、これから原点回帰。江戸時代に始まった檀家制度より、本来のお寺のあり方を今、色々と旅をしながら頑張ってます。
ネルケ無方さんのような僧侶も居れば、私の知人みたいな方もいる。
お寺運営も大変だとは思います。
門は開かれてるとは言え、宗教離れもあるかと。
お寺で遊ぶ子供たちもみなくなりましたね。
コメントありがとうございます。いろいろな試みがありますが、おっしゃるように全体的な宗教離れもあって、成果は簡単に上がらない状況です。個人で活動する限界もあります。
とはいえ、危機感から動くのは何か違うような気がします。みんなの幸せのために何ができるかを考え、実践していくということの積み重ねでお寺は成り立ってきたわけですから、それを今後も続けていきたいと思います。