釈尊の時代より、毎月2回、修行僧が集まり、戒律を読み上げ、罪のあるものは自ら告白して懺悔し、長老はこれに対して訓戒し、滅罪を宣言するという行事が行われていた。これを布薩(ふさつ/uposatha)という。日本でも本山では行われているが、戒律を読み上げるだけで告白などしない。
葬儀では最初に戒律を読み上げ、故人がその戒律を後生大事にすることを胸に刻みつけた上で戒名を授ける。そこで自分が守れていない戒律を授けているのではないかと、読み上げるたびに心もとない気持ちになる。ヘビースモーカーがタバコは体によくないからやめろというのは、論理的には間違いではないが説得力がない。そこでネットで布薩をしておこうと思った。本当は250条もあるが、葬儀で説く16条だけを取り上げる。昨年1年間、◎○△×の四段階で。
三帰戒
1.仏(釈尊を信じて帰依する)○
……毎朝礼拝と読経を続けたが、昼と晩のお参りはせず。
2.法(釈尊の説いた教えを信じて帰依する)◎
……お経や仏教に関する書物を読んだが、疑問も残った。
3.僧(仏教徒の仲間を信じて帰依する)○
……近隣寺院には礼を尽したつもりだが、失礼もあった。
三聚浄戒
1.摂律儀戒(悪い行いをしない)○
……朝寝坊はしなくなったが、自分ではなく長女のためだった。
2.摂善法戒(善行に励む)△
……人の目を気にしただけで、自らよいと思ってしていなかった。
3.摂衆生戒(世のため人のために尽す)△
……家族や檀家のことで精一杯で、ほかに目を向けられなかった。
十重禁戒
1.不殺生戒(生き物の命をことさらに奪わない)○
……法事のお膳を嫌ったのと、夏場に車でたくさんの蛙を轢いた。
2.不偸盗戒(ものを盗まない)○
……お布施泥棒にならないよう努めたが、頂く価値があったかは疑問。
3.不貪姪戒(道ならざる愛欲を犯さない)○
……浮気はしなかったですよ?
4.不妄語戒(嘘偽りの言葉を言わない)◎
……正直であろうとしすぎて融通がきかなかったかもしれない。
5.不コ酒戒(酒におぼれない)◎
……飲酒は平均月1回以下。自発的に飲んだのはほぼなし。
6.不説過戒(他人の過ちを言いふらさない)◎
……聞くことは多くても口は堅かったと思う。
7.不自賛毀他戒(自慢せず、人の悪口をいわない)◎
……結果として八方美人になったのはいいことか悪いことか。
8.不慳法財戒(無償で与えることを惜しまない)○
……労働は進んで行ったが、お金は借金の返済すらままならず。
9.不瞋恚悪戒(怒ってキレない)◎
……大声で怒鳴ることがなかったのは子供たちのおかげ。
10.不磅三宝戒(仏教やお寺の悪口を言わない)○
……言わなかったけれども、思うことはたびたび。
概ね及第点というところか。いずれも満点とはいえず、反省すべき点がある。でも全部満点になったら、生き仏だな。