現代インドの仏教徒

地元のご寺院さんの集まりで講演を依頼され、つくばから日帰りで行ってきた。与えられたテーマは「現代インドの仏教徒」。前回「般若心経の読解」というテーマで講演したとき、その中で「インドのお寺で般若心経を読んできた」という話をしたら興味を持ってくださったようでリクエストを受ける。
まずインド仏教衰亡の内的要因と社会背景を話す。檀家さんとお話ししていると、お釈迦様がインド人だということは知っていても、今のインドが仏教国ではない(国勢調査で仏教徒は全人口のたった0.8%)ということまで知らない人が多い。
それからチベット仏教、ヴィパッサナー瞑想法、新仏教徒の3つについて概要を説明。ダライラマ14世、ゴエンカ、アンベードカル、佐々井秀嶺の4氏についても触れた。一番興味を持ってもらったのが仏教徒=被差別カーストという話。インドに厳然として残るカースト制度の身分差別と、仏教の平等思想の相克は釈尊以来2500年も続いている問題だ。
その平等思想を背景として、再びインドの仏教徒が増えつつあるという話は元気がなくなってきている日本仏教にとっても勇気付けられる。
それから一昨日の東京ボーズコレクションでの話(直葬=葬儀に僧侶が必要とされなくなっている)と重ね合わせ、インド仏教衰亡の状況が現代日本仏教の置かれた状況に類似しており、日本仏教も滅びる懸念が強いこと、もう一度仏教の平等思想に立ち返り、現代社会で活かしていくことで衰亡を免れるかもしれないことを説いた。自分でも意図していなかったが、話しながらこういう風にまとまったのはあとから振り返っても感心する。
それから2時間ほどの懇親会。先週の役員会で今年の飲み納めにしようと思っていたが、結局やむを得ず飲んだ。終わって21時の新幹線でつくばへ。25時到着。明日は大学の最終講義である。

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