いわゆるウェブ2.0が今後どのような方向に進んでいくのかを、20のトピックで考察した本。
アマゾン、レコメンデーション、行動ターゲティング、仮想通貨、グーグル、プラットフォーム、ベンチャー、マネタイズ、ユーチューブ、動画、TV、番組ネット配信、雑誌、新聞、セカンドライフ、ネット下流、ツイスター、リスペクト、リアル世界、ウィキノミクス。
ウェブサイトの検索・閲覧履歴を記録し、それに合わせた広告を配信する行動ターゲティング。これが携帯電話をプラットフォームとしてGPSやおサイフケータイ、メール、さらに通話を通じて行われたらすごいことになる。
「たとえばおサイフケータイの情報を使えば、毎日同じ駅と駅を通過しているという事実に対して「この人はこの駅と駅が通勤経路なのだな」と機器の側が認識することができる。夕刻、いつもより早く駅に着けば「今日は早かったな」と認識して駅周辺の買い物情報をその人の行動に即して提供することもできるし、いつもより遅ければ「ちょっと一杯」の居酒屋情報をその人の好みに合わせて提供するようなことも可能になる。」
うぜ〜。これに頼りきりで思考停止し、機械に操られる人間が出てきそうなのも怖いし、絶えず自分の行動が監視されているのも怖い。
望ましいのは音楽のプロモーションをクチコミで行うというモデルで成功したマイスペースのようなSNSで人をつなげ、セレンディピティ(新しいマッチング)を作ることだ。ある趣味が共通の知人がもっている別の趣味に興味をもち、人のつながりの中で自分の人生を豊かにしていく。
ほかにもNHKがオンデマンド配信を始めるようになって、少チャンネルで広告を独占してきたテレビ業界に異変が起こる話や、ニコニコ動画のコメントが実はデータベース化されているという話、ターゲットが細分化されすぎてインターネットに対抗できなくなる雑誌、インターネットにしか楽しみや希望を見出せない地方の若者フリーターがネット周辺を変えていく話、ブログからミクシィへ、そしてトゥイッターへ流れるコミュニケーション圧力からの回避、ウェブ上の集合知からプロダクトを生み出すクラウドソーシングなどが興味を引いた。
グーグルやアマゾンのもたらしたインパクト以上にすごいものはまだ生まれていないようだが、ウェブの世界も静かに大きく変わっていくのだろう。その中でどういう活用をするべきか、アンテナを張っていきたい。