お坊さんも人間であるからして物欲も性欲もある、そんな赤裸々な姿をぶっちゃけて書いたという本だった。
「経済学」と題しているからには統計的なデータに基づいた考察を期待していたのだが、お布施何十万円とか具体的な数字がときどき見えるぐらいで、あとはどこかで読んだエピソード(多すぎると言ってお布施を返した若い僧侶や、妊娠して婿殿をしっかり捕まえてきた寺の娘など)が脈絡もなく書き連ねられているのみ。
悪い僧侶ばかり強調されるのは僧侶として全く気にならないが(まあ嘘ではないので)、ネタ本に過ぎないと思う。「壇家」など誤字が多いのも気になる。
ただし「軽薄な利己的な理屈理論を述べたり、組み立てたりすることは得意です。しかし、人間が現実に生きていく上においてより大切なことは、主体性を確立すること。」というくだりはよかった。自分を律し、その律した自分(つまり良心)に正直であること。
それと序文の「何百年もの昔の開祖尊しとする固定化された教義・教理の枠組みを打破しない限りは、現実に生起するさまざまな問題・事象の変化には即応できないでしょう。」も至言。それができなくて僧侶も仏教学者も苦慮しているのである。
というように、はっとさせる言葉があるものの、全体としてウケを狙いすぎた感があって今ひとつ。もう少しトピックが整理されていたら印象はよかったかもしれない。