どこまで本気なのか分からないような本だが、インド人の交渉の巧みさを実例を通して学ぼうという本。
「言い負かす」とあるが、基本的に相手を尊重して友好的な状態を作り、その中で自分の言い分を聞いてもらおうというものだ。筋さえ通っていればよいというものではない。
インド滞在中、観光地で仏像を10ドル(1200円)で売りつけられ、最後は6ルピー(15円)で買ったということがあった。これは私がヒンディー語で交渉し、相手に自分を見抜かせなかったからできたことと思っていたが、もしかしたらそれでも儲けは出ているのかもしれない。本書でも「手のうち(利益が出る最低のライン)を見せない」「追い詰められたふりをする」の例で出てくる。
「何よりもインド人が優れているのは、人を見抜く力です。いろいろな角度からその人を観察し、その人がどんなタイプの性格なのか、何を望む人なのか、そして何を隠している人なのか、そういったことを鋭い観察眼で見抜くことができます。」交渉に限らず、磨きたい力である。