映画(11)

あまり寝付かれないまま起きて一風呂浴び、マヘーシュさんの文法学を受けた後は昨日チケットを買っておいた映画を見る。映画はすっかりストレス解消の手段になってしまった。
ガーヤブガーヤブ(透明人間)
〈あらすじ〉
 うだつの上がらない内気な青年ヴィシュヌ。家ではお母さんに怒鳴られっぱなし、仕事のセールスマンもさっぱり売れず、ひそかに恋しているモニは筋肉ムキムキの恋人サミルといつもデート。モニにウィンクしたのがサミルの怒りに触れ、1発殴られただけで泣き出してしまう始末。
 ヴィシュヌは浜辺で拾ったヴィシュヌ神像に向かっていっそのこと消えてしまいたいと嘆く。家に帰ってみると、家族は自分が帰ってきたことに気づかず、鏡に自分の姿が映らない。透明人間になってしまったのである。
 ヴィシュヌは大いに喜んで、今まで自分をいじめてきた友達に仕返しを始める。モニの部屋に忍び込んでモニをずっと眺めたり、サミルの頭をたたいてデートを邪魔したり、人形を動かしてお母さんを驚かせたりしていた。
 姿は見えないがしゃべれば声が聞こえる。そこでヴィシュヌは神を騙ってモニとサミルの仲を裂き、モニに自分のことを好きになってくれるよう頼む。しかしモニは「サミルには指一本触らないで!」とサミルをかばうばかり。何が足りないのか考えたヴィシュヌは、とうとう銀行強盗を決行。白昼堂々と大金を持ち出してモニにプレゼントした。
 しかしこれでモニが喜ぶはずがない。モニは警察に届出、ヴィシュヌは透明人間のまま指名手配されることになる。モニが警察にたれこんだことを怒ったヴィシュヌは、モニとサミルを追いかける。ヴィシュヌが追ってこないアメリカへの逃亡を考える2人。だが警察がやってきてモニがいなくなったらヴィシュヌを捕まえる方法はないことを諭し、モニたちにインドに留まるよう頼む。これを承諾しておとりになるモニ。
 警察は多数の銃撃隊員を用意して臨んだ。やがてモニのところにヴィシュヌがやってきて自分の思いを打ち明ける。これを聞いているうちにヴィシュヌが殺されるのを耐えられなくなったモニは、警察を裏切ってヴィシュヌを逃がそうとする。海に飛び込んだヴィシュヌに、警官隊は容赦ない銃撃を加えるのだった。
 モニとサミルが浜辺で悲しみに沈んでいるとそこにヴィシュヌの声がする。彼は死んではいなかったのだ。モニの説得でサミルは警察に自首。裁判を受けて服役した。
 その後、彼はどうなったか…透明人間としてマスコミに取り上げられ、ヒーローになっていた。服だけ見える格好で歩きながら、近所の人の挨拶にこたえるヴィシュヌ。
〈感想〉
 予告編を見てかなり面白そうだと思っていたが、期待を裏切らない面白さだった。何より先の展開が全く読めないのがたまらない。意外だが無理のない展開が続くので、集中力が途切れない。これはインド映画に珍しいことではないだろうか。主人公のヴィシュヌは勧善懲悪をするわけでもなく、子どもじみた動機でむちゃくちゃな行動をする。ヴィシュヌを応援したくなったり、モニの味方をしたくなったり、気持ちがひとところに落ち着かないのがいい。
 特撮やカメラワークもよくできていた。特撮はそれほど難しいものではないのかもしれないが、いないのにいるという存在感がよく出ている。ヴィシュヌの視点からはヴィシュヌがいるのに、切り替わって他の人の視点になるとヴィシュヌがいないというカメラワークの転換も面白い。
 笑えるシーンがたくさんあったが、消えた息子を案じる父親のシーンでは泣かせ、ヴィシュヌがどこから迫ってくるか分からないシーンでは怖がらせるなど、筋書きも変化に富んでいた。
 もう1回見たくなる映画である。
公式ページ
映画が終わってからはとぼとぼと家へ。今日は久しぶりに暑い日で、45分に1本のバスが来なくて1時間待っているのが堪えた。夕方には隣のお宅からご招待で、昨日に引き続きチキンカレー。隣は何をする人ぞという発想があるのは都会でない証拠。たいした店もない街だが、肌に合っているような気がした。

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