タヒルさんの仕事が溜まっているというので、お店に一緒に着いていく。そこでは従兄弟が代わりに働いていた。こちらは近くのインターネットカフェを紹介してもらってネットサーフィン。
インドのパソコンはWindows 98が大部分で、2000やXPはあまり見かけない。98で日本語を読み書きする場合、Global
IMEというものをダウンロードしてインストールしなければならない。日本語のIMEは5メガ、ダウンロードに20分かかった。シュリナガルでは高速回線な方だだというが、ひたすら遅い上に時々回線が切れるので、メールを一通り読むだけで1時間近くかかった。
インドでは全く珍しくないが、ここシュリナガルにも物乞いはいる。街頭で車を停めていると、誰彼となく寄ってくる。手を口に近づけて(「食べ物」)、それから差し出す(「下さい」)という仕草は全インド共通なのだろうか、ここも同じだった。タヒルさんの話では、彼らはデリーなどから流れてきたのだろうという。シュリナガル自体に貧富の差はあまりなく、露天商のおじさんでも立派な家を持っている。
物乞いは無視するのが一番だと思っていたら、タヒルさんたちは積極的に話しかけている。タヒルさんはよく「ごめんね(マーフカルナー)」と謝り、ジミーさんは「どうして働かないのか」と詰る。こうすると無視よりもずっと早く退散することがわかった。無視していると、気づかないのかと思ってより強くアプローチしてくるようだ。
夜には本屋でカシミール語の入門書とシュリナガルのガイドマップを購入。本を開くとアラビア文字がずらっと並んでいる。インドの公用語のうち、カシミール語とウルドゥー語はこのアラビア文字で書かれている。ただし、文字は一緒だが語彙や文法はアラビア語と全く違う。ウルドゥー語はヒンディー語とほとんど変わらないが、カシミール語はアラビア語ともヒンディー語とも違う。
タヒルさんの家では主にウルドゥー語が話されている。お母さんがパンジャーブ出身、お父さんが北カシミール出身なので、家族全員が分かる言葉として折衷策としてウルドゥー語を用いる。しかし彼らは地元でカシミール語も分かるし、話せる。カシミール語の本を一番喜んでくれたのはお父さんで、これから毎日カシミール語を教えてくれるという。
プネーでは現地語のマラーティー語とヒンディー語は誰でも分かる言葉だったが、現地語+インド共通語の両方を話すという構造はここも同じ。考えてみれば私も山形弁と標準語を使い分けているから、何も特別でないのかもしれない。ただ、現地語と標準語があまりにかけ離れていて、全く別の言語であるというのが違う。
カシミール語はなかなか面白い響き。少し覚えて帰れたらいいなと思う。