大雪警報

雪下ろしお正月から近年まれに見る大雪が降り、除雪作業の毎日が続いた。何でも夏にカメムシが大量発生すると大雪になるらしい。カマキリの卵が高いところに作られると大雪になるという話もある。今年のカマキリの卵の位置の高低は諸説あったが、確かにカメムシは大量発生してあの強烈なニオイに何度も悩まされたことを思い出す。
つばさは開業以来の終日さらに半日運休。奥羽山脈を越える米沢−福島間で雪の重みで倒木が相次いだらしい。その他県内でたくさんの列車が運休し、道路も通行止めが相次ぐ。かくも簡単に陸の孤島になるのであった。
1日の大半は除雪作業で過ぎて行く。朝起きると家の前は車が入ってこられないほどになっている。ロータリー式の除雪機に給油し、ロータリー部分に雪がつかないように潤滑油をさし、轟音を鳴らしながら小屋を出発する。山門から境内を一通り除雪すると約90分。ときどき雪がつまるので作業を中止して雪を取り除く。軒下などは山になっているが、そこは機械が入らないので人力(スコップ+スノーダンプ)で黙々とやる。
公道ではブルトーザー式の除雪車が除雪作業をしていて、せっかく除雪した参道入り口に雪の塊を置いて行くので、定期的にそこまで見に行って、山になっていればやはり人力で払わなければならない。
さらに天気がいい時には屋根に積もった雪を下ろす。屋根に雪が積もってくると家が歪んで戸が開きにくくなり、最悪の場合は家が潰れるのだ。屋根の上はもちろん人力。これだけの雪はどれくらいで片付けられるだろうかと考えていると気が遠くなるので何も考えず、疲れて動けなくなるまで続ける。動けなくなったら休む。休んだら再開。そして気がついたときには終わっているという寸法だ。
一面の白い世界で作業していると頭の中まで真っ白になり、体が自動操縦になっているかのようだ。口もぽかんと開いていたりする。
この地では何百年も昔から、こうして春になれば消える雪と格闘するとき、頭のスイッチを切ってきたのだろうか。すべてのルーティンはスキーマ(無意識でもできる行動の枠組)が形成されると楽しいとかつまらないという話ではなくなってくる。たまにはそういう世界に身を浸してみるのもいいが、全てがそうなってしまったら恐い。

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