戒名に使えない字

今日はこれから葬儀。
戒名は戒名字典というものがあって、これをもとにして考える。以前「字典をパラパラめくって適当なところで指を入れて決めるのに、戒名料何十万とかいうのは馬鹿げている」というような批判を読んだが、戒名は故人の性別・年齢・配偶者の有無・信仰の厚薄・お寺への貢献度・社会的活動や地位・趣味・性格などを考慮して総合的に付けているし、戒名料やそれに類するものは一切頂いていない。
戒名で使わないほうがいい字を三除の法、二箇の大事という。三除の法とは、1.奇怪な難字、2.無詮の空字(乃・也・於・但など)、3.不穏の異字(争・恥・敵・悩など)を指し、二箇の大事とは1.歴代天皇の尊号と年号・祖師の法名を使わない、2.麟・龍・駿・鹿・亀・鳳・鶴などを除き動物を表す文字(いくらペット好きでも犬・猫はNG)は使わないというものである。子どもの名づけにも応用できそう。
ほかにも他宗を象徴するような文字(誉・釈・日)や読みから悪い連想をするもの、典拠のない熟語、同音の連続(清真晋心信士など)、入声の連続(妙覚吉楽信女など)も避ける。
ここまでは戒名字典に書かれていることだが、さらに私が気をつけたほうがいいと思っているのは遺族の名前の文字だ。故人の俗名をうまく盛り込むのは遺族が故人を思い出すよすがにできるのでよいが、そこに本人以外の人が混じるのは考えものだ。
その家で代々同じ文字を使っている場合は別として、遺族が故人の戒名を見たら自分の名前が使われていたというのは、あまりいい気持ちではないのではないか。人によっては「お前も早く死ねということか」と思われかねない。
戒名は聖俗を分かつものである以上、俗名を入れるべきではないという人もいる。そこまで極端な考えはもっていないが、遺族の心情に配慮して戒名も考える必要があるということだと思う。ときどき知らない遺族の名前を使ってしまうことはあるけれども、少なくとも喪主の名前は使わないようにしている。

7件のコメント

  1. 東野登美子

    お聞きしたい事があります。
    8/20義母が逝去いたしました。 我が家は曹洞宗です。 菩提寺の住職様に戒名をつけていただきました所、義母の名前が一文字も入っておりませんでした。
    ご住職にお聞きしましたら、義母の名前の「浅野」の「浅」は使えない文字だと言われました。
    しかも、父の名前の一文字が使われていました。
    何故に「浅」と言う字が使えないのか?つかえないならば「あさ」と読む字を当てる事は出来ないのでしょうか?

  2. 戒名は心機一転、新しい自分を生きるために与えられるものですので、俗名をわざといれない方もいらっしゃいます。
    今手元の戒名字典を調べてみましたが確かに「浅」はありませんでした。仏教語辞典でも「浅機」「浅心」「浅智」「浅略」「浅劣」など、浅薄、浅はかという意味でしか載っておらず、戒名に使いにくい字だといえます(逆に「深」ならありますが)。
    読みを取るにも、戒名は基本的に全て音読みなので、一文字で「あさ」と音読みできる文字は見つかりません。そのような事情ではないかと思います。

  3. 東野登美子

    丁寧なご回答ありがとうございました。
    何故使用できないのか?良くわかり、納得できました。
    無粋な質問なのですが、もう一つお聞きしてもよろしいでしょうか?
    仏様になってからのお名前なら戒名はつけなければならないものでしょうか?
    つけなかった場合、あちらの世界では名無しとなり、戒名のあるかたと別けられたりしますか?
    生前に自分でつけたい名前を決めておくのは可能でしょうか?
    私の主人は戒名要らないと言っています。
    お忙しい中、申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。

  4. 付けなければならないものかといえば、それは自由です。その人の生き様に相応しい戒名を頂いて安心したというご遺族もいらっしゃいますし、そうでない方もきっといらっしゃるでしょう。お寺では最善を尽くしてその人に相応しい戒名をお授けしたいと考えていますが、その思いが伝わるかどうかは分かりません。
    付けなかったら亡くなった方がどうなるのかは分かりません。ただご遺族が安心されるかどうかが、故人にとっても大事なことだと思います。
    戒名を自分で付けることを自誓受戒といいますが、その戒名を名乗るために、仏の戒めを自らどれくらい深く誓えるかが重要です。不可能ではありませんが、よほどの信仰者でない限りは、難しいのではないでしょうか。
    菩提寺があるようですので、詳しくはご住職に相談してみてください。

  5. 匿名希望です

    最近葬儀があり、故人の生前の名前を一字とって戒名をつけて頂きましたが。
    生前の名前の一字の下に喪主の名前の漢字が一字付け加えられ、実際の読みは違うかもしれませんがたまたま?喪主の名前と同音に読めるような漢字の並びになっていました。
    戒名を変えてくださいとは言いにくく、悶々としている時に、ご住職様のコラムを拝読し「喪主の名前は使わないようにしている」の一文に気持ちを救われました。
    どうもありがとうございました。

  6. 藤本 亜希子

    先日母が亡くなりました。熱心な宗教者では無かったのですが、お嫁に来た先の先祖代々の宗派は有るので仏壇や位牌は49日迄に揃えようと思っています。
    娘の私が母の戒名を付けてあげても大丈夫でしょうか?

    • ご愁傷様でございます。
      名ばかりであればどなたがつけてもよいのでしょうが、「戒」名は戒律を授かってこその名前なので、信頼できるお寺さんを探して依頼するほうがよいかと思います。

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