グーグルが一世を風靡した現代、その先にあるウェブ3.0の胎動を読み解く本。
キーワードは「ソーシャル」で、リアルな人間関係を反映した結果を出す検索サイトを予言している。アマゾンの「この商品を買った人はこんな商品も買っています(シミラリティ検索)」をさらに発展させたものだ。
それだけでなく、経済産業省がしかける「情報大公開」プロジェクトは、ウェブページからリアル世界(流通・交通・医療・放送・製造)へデータベースの蓄積と利用を企てていたり、英語圏のサイト「セカンドライフ」がオンラインのバーチャル空間のお金と現実のお金を公然と兌換可能にしたりするなど、リアルとウェブの距離がどんどん近くなっていることが報告されている。
とはいえ現状は発展途上で、決定的なモデルが生まれてはいないばかりか、どういうものが決定的になるかさえもまだ予測はつかないようだ。
サンプル百貨店「ルーク19」、カスタマーサポート管理の「Qlep」、質問サイト「オウケイウェイブ」、マーケティングリサーチの「アゲウン」、発信者が費用負担する音楽サイト「mF247」など、今後のモデルのプロトタイプになるかもしれないウェブサイトの仕組みを解説しているのが興味深い。また楽天、ヤフー、ミクシィという巨大サイトの今後の予測も面白い。
別にネットにビジネスを求めているわけではないが、ウェブサイトを運営している身としては、アフィリエイトが儲けを目的としているのではなくて、「思い入れを多くの人に知ってほしいと思っているだけ」というところが共感。
広告主の「やらせ」にはどんどん敏感になっているのがウェブ社会であるという。商業主義に染められないよう注意して、生の声を発信したいものである。