お正月の行事というと、1日からの年始受け、檀家さん宅で宅祈祷、大般若会(1年おき)、本寺と師匠のお寺に年始挨拶、それに年末調整がある。今年は大般若が当番でないが、それ以外を昨日までに終えた。これだけ早いのは住職になって初めてだ。
お寺は宗教法人なので、法人税はかからない。しかし、お寺に勤める住職と寺族は、お寺から給与所得を得ていることになり、お寺として源泉徴収をし税務署に申告しなければならない。
お布施は全部住職のポケットマネーだと思っている人が意外と多いが、その中から備品を揃えたり、お供え物を買ったり、ほかのご寺院さんや檀家さんに挨拶やお礼をしたり、貯蓄に回したりしなければならない。給与になるのは、お寺の全収入の3分の1程度だ。
まず1年の収支をエクセルに打ち込み、お寺の総収入、総支出を計算する。次いで昨年から増えた貯金を引いて、残った分が給与となる。お寺の収入は不定期だから、1年が終わって初めて給料がわかるという具合だ。帳簿の上では月給制なので、年収を月で割って計算する。
幸い母が日誌を綴っているので、それを写すだけでよいがなかなかの作業量である。お布施は領収書がないから、その都度つけておかないとどんぶり勘定になってしまう。ごまかそうと思えばいくらでもごまかせるが、たまに税務署が入ることもある。近くのお寺で高級自家用車をお寺の経費で処理していたのがNGだったらしい。
どこまでがお寺の分で、どこからが住職個人の分かは、分けるのが難しいところ。電気・ガス・水道・電話・灯油などは共用しているので、10分の1〜2分の1の割合で経費から出す。携帯電話は100%経費だ。
このような収支の付け方は、住職研修会でみっちり習ってくる。一時期、宗教法人を隠れ蓑にして脱税する事件が相次いだため、寺院にも透明な財政が求められるようになったというわけだ。
収支を出せばもう終わったようなもの。税務署からもらってきた書類に所得額を入れ、控除や保険料などを引いて、一覧表によって税額を出す。税理士に頼んでいるご寺院さんが多いが、税務署で聞けば親切に教えてくれるので独力でできないことはない。
ちなみに私は妻の扶養家族に入っているため、パートのおばさんみたいに年収が103万を超えないように調整する(給与の大半は母がもらったことにしている)。そのため奨学金だと思っていたものが給与だったときには青ざめた。