前回の「手巻き寿司大会」で提案されていた焼肉大会がK氏宅で開催される。食にこだわるプネー日本人学生の意地をここでも見せつけた。
K氏の家にはテラスがあって、停電中に外で風に吹かれているときにこの企画を思いついたという。手に入れにくい炭はカドキから、豚肉はI氏が韓国人の知り合いから情報を集めてバラ肉を入手、牛肉はシヴァージーマーケットから入手したものをたれで漬け込んである。豚は1キロ70ルピー(175円)、牛は1キロ50ルピー(125円)で、牛の方が安い。鶏肉もタンドーリと醤油味噌づけ。あとは野菜としてナス、ピーマン、オクラ、ジャガイモ、肉を巻くレタス、ニンニクなど。酒はビールとバカルディに、ウィスキー。
最大の心配は雨。ちょうど今日モンスーンがプネーに到着したらしい。小雨がぱらつくことがあったが、土砂降りはなく、むしろ適度に曇ったおかげで快適だった。ときどき日が差すと火よりも熱い。コンクリートですら、素足で歩けないほどになる。半日外にいて、肌を露出していた部分は真っ赤に日焼けしてしまった。
焼肉の楽しみは食べるだけでなく焼くところにもある。5、6枚の肉を並べ、肉汁が浮いてきたものから裏返す。できあがったら側へ。火が足りなくなったら炭を追加。そんな作業がとても楽しい。
一通り食べ終わったところで、ゲームでもと「タングラム・プラス」を順番にプレイ。板を交互に入れていって、はみ出してしまった方が負けという単純なゲームだが、どの種類の板をどのタイミングでどこに入れればよいかちょっとした戦略性がある。「ここにこの形を入れたら、次に相手がこちらにあの形を入れるから……」などと先の先を読むことも可能だ。3戦3勝。
続いては紙と鉛筆をまわして「フラッシュ」。お題から連想される言葉を制限時間内に書いて、同じ言葉を書いている人がいたら得点になるというこれまた単純だが奥の深いコミュニケーションゲームだ。常識人が有利なのは言うまでもないが、トップ目の人と重ならないように答えを読むという局面もあり、なかなか面白い。お題はインド、インドの遺跡、バーベキュー、ハリウッド、麻薬、最近のヒット曲など。最近のヒット曲はインドに長いこといる人たちにとってかなりつらいものがあった。最多回答は「世界にひとつだけの花」である。
あとはI氏がキャンプファイヤーの歌大会や好きな人告白大会を始めようとしておかしかった。
結局食べ続け、飲み続けで10時間。普段食いつけないものを食べてお腹は大丈夫かと思ったが、この頃菜食が多い毎日だったのでよい栄養を取ることができた。
話をきけば結構体調を崩している人が多い。3月からの暑さで体力が弱くなっているところに雨季で湿度が上がり、雑菌が繁殖しやすくなっている。今日も来る予定が体調不良で来られなかった人が2人いた。特にMさんは頭痛と嘔吐で脱水症状になり、入院までしてしまったという。何とも人間の無力さを感じ、神仏に祈りたくもなってくる。インド人の信仰深さの源泉をここに見る思いがした。(写真提供:円実氏)