『正見経』(中部経典9)を講読。十二支因縁(①無自覚(無明)②本能(行)③分別(識)④事物(名色)⑤感覚器官(六入)⑥対象との接触(触)⑦感受(受)⑧渇愛(愛)⑨執着(取)⑩輪廻(有)⑪誕生(生)⑫苦しみ(老死))の最終的な結果である老死の苦しみから、原因、原因の原因と遡るかたちで説かれている。
ことは誕生から始まる人生の苦しみという実存的な問題から始まり、感覚器官と対象の接触による感受・欲望・執着という認識論、さらに本能による分別で事物が作られるという存在論、そして最終的には真理の無自覚という宗教的なテーマへ。このように視点がどんどん変わっていくところが、十二支因縁の理解を難しくしている。
『正見経』ではさらに無明の原因として煩悩を設定し、無明の原因は煩悩、煩悩の原因は無明と循環させているところも考えさせられた。
無明の眠りの夢覚めて 尊き身をば今ぞ知る(御授戒御和讃)