『セクシュアルマイノリティの生きづらさ』

曹洞宗で各寺院に配布された小冊子。最も直接的な問題は、トランスジェンダーの方の戒名を(家族がそれを認めていない場合に)信士にするか信女にするかだが、それ以外にも悩みを打ち明けられたときに適切な応対をするための知識や注意点が実例を交えて書かれてあり大変勉強になった。

例えば「オネエ」と呼ばれる人たちには女装を趣味・仕事とするゲイ(マツコ・デラックス)、トランスジェンダー女性(はるな愛)、女らしいとされる言葉遣いや振る舞いをする異性愛男性(りゅうちぇる)がいるように、性的指向と性自認は千差万別。それに気づかず一緒くたにしてしまうと深く傷つけることにもなりかねない。

「セクシュアルマイノリティについて理解があります」という人間にも、かわいそうな人扱いすることで相手を受容しており、逆に差別的でありうるという話は、セクシュアルマイノリティに限った話ではない。無意識の優越感で上から目線になっていないかよくよく反省する必要がある。

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僧侶が「お葬式はきちんとやった方がいいよ」「親はきちんと弔ったほうがいいよ」ということは、保守的な家族のあり方を踏襲しなさいと強要することになりかねないという指摘も傾聴に値する意見。そういわなければいけない場面もあるのは事実が、それが生きづらさを抱えている人を追い詰めないように気をつけたいところである。

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