魚川祐司著。
仏教は人間として正しく生きる道ではなく、「異性と目を合わせないニート」(生殖と労働の否定)になって苦からの解脱を目指す教えと捉え、日本仏教では軽視されがちな解脱を中心に据えて、そこまでの道のりと、その後の状態、そしてブッダが説法を始めた理由を考察しています。仏教のウィークポイントである無我と業の主体の解決から、初期仏教から大乗仏教、さらに禅宗への橋渡しまで、東南アジアの教説や西洋哲学の概念も用いつつ明解に説かれていて、興味深く読むことができました。法華経如来神力品や参同契と重ね合わせて参究できたように思います。