一、開式、合掌礼拝
一、葬送の辞
本日(○○家)壇上に謹んで大恩教主本師釈迦牟尼仏、仏教によって自らの生きる道を得た諸仏諸菩薩を招来し奉る。○月○日俗名○○○○善男子(善女人)○歳の生涯を終え現世の縁を離れる。哀愁何ぞ堪えん。ここに曹洞宗宗門伝来の本葬儀を修し、ひたむきにそのご生涯を生きられし○○殿の仏の世界への安らかな旅立ちを願うとともに、遺された縁につながる方々の悲しみや苦しみがこの葬儀をひとつの転機として、この後明るく幸せに生きる道につながっていくことを祈る。
この葬儀は、かつて釈迦牟尼仏が沙羅双樹のもと安楽の大涅槃を開かれ、それを悲しむ多くの弟子たちによって営まれし儀式作法を今日に伝えしものなり。それ釈迦牟尼仏のみ教えを弟子たちが受け継ぎ行うことにより、釈迦牟尼仏のいのちを自らのいのちとして預かり、さらにまた自らのいのちを仏縁につながる次のいのちに引き継いで、未来永劫に釈迦牟尼仏が生き続けていくことを願い始められしものなり。
どうぞこの会場に集まられし方々、この時を努めて心静かに、清らかに過ごされんことを。故○○○○善男子(善女人)の生涯が、この世にも未来の世にも美しき花を咲かせ、やがて悟りの園の春が訪れることを願うものなり。
維時○○年○月○日 曹洞宗〇〇山〇〇寺 〇〇世住持比丘 敬って申す
一、三帰礼文(声明)
一、授戒
流転三界中 恩愛不能断 棄恩入無為 真実報恩者
釈迦牟尼仏のお弟子となる汝 新亡の善男子(善女人)○○○○殿、今離れがたきご家族縁者との恩と愛とを断ち切り、これよりみ仏の道を歩むということは、汝が人生において出会った感謝すべき方々の恩に報いる真実の道なり。
剃除鬚髪 当願衆生 永離煩悩 究竟寂滅
今、汝を剃髪す。手を合わせ一心に次のことを願うべし。「生きとし生ける全てのいのちに幸多からんことを」
剃除鬚髪 当願衆生 永離煩悩 究竟安楽
新亡の善男子(善女人)○○○○殿、これよりみ仏の道を歩まんとするならば、まず汝が人生の過ちを悔い改めるべし。悪にあらずと思えども、小さき罪は無量にあり。これより唱える言葉は、かつて釈迦牟尼仏が唱え、歴代のお弟子様方が護り伝えし懴悔の言葉なり。これを心から唱える時、汝が犯せし諸々の罪科は、春の深雪の如くことごとく消滅するものなり。わが語に従ってこれを唱えるべし。
我昔所造諸悪業 皆由無始貪瞋痴 従身口意之所生 一切我今皆懴悔
我々が犯してきた諸々の過ちは、自らの煩悩によって生まれしものなり。我々の行いの過ちと、言葉の過ちと、心の過ちを、今ここに全て悔い改める
オンキリキリバサラウンバッタ(三遍)
オンラン三遍 オンバン(三遍)
円伊の三点水、万物尖新
汝は今、心から懴悔して美しい清らかさを得たり。さらには重ねてこの聖なる水を汝に注ぎ、汝を仏弟子とするなり。
天地の恩、母の恩、父の恩、衆生の恩に報い、三界の生きとし生ける全てのものを等しく救う。法界の有情と共に、全ての迷いを打ち破り、悟りの世界に達せんことを。
次に釈迦牟尼仏と、そのみ教えと、教えを守り伝えし僧侶菩薩の三つの宝に帰依し信仰し奉るべし。三つの宝には過去現在未来にわたって無量の功徳あり。ひとたび信じ帰依し奉るとき、この功徳、ことごとく皆円成す。
南無帰依仏 南無帰依法 南無帰依僧
帰依仏無上尊 帰依法離塵尊 帰依僧和合尊
帰依仏竟 帰依法竟 帰依僧竟
釈迦牟尼仏にその身を任せ、釈迦牟尼仏の説かれた教えを信じ、信じて生きる全ての人と友と呼ぶことを誓う。この世に生まれし喜び、真実の人の道を生きる喜び、汝の命がきらめく喜びこれなり。
一心にこのことを念じ護りぬくならば、まさに釈迦牟尼仏と同じく汝は真実の道を歩み、悟りの道を得ることになる。
南無大慈大悲大哀愍の故に。汝は今、釈迦牟尼仏の大いなる懐に抱かれたり。
さらに汝のみではなく生きとし生ける全てのもののために三つの護るべきことを誓うべし。
一つ摂律儀戒 努めて自らの心を清らかに保ち、一切の悪をなさざること。
二つ摂善法戒 自我の壁を作らず大きな心をもち、善き行いに励むこと。
三つ摂衆生戒 生きとし生ける全てのものに慈悲の心を忘れざること。
これら三つの誓願あれば、自身を正し、仏道を開かん。
最後に、深く心に刻み、いつも汝が胸に問いかけるべき十の人の道あり。これを汝に授けるなり。
第一不殺生戒 殺すことなく、いのちを活かし
第二不偸盗戒 奪うことなく、与えるを喜び
第三不貪淫戒 汝を信じる者を裏切らず清らかに暮らし
第四不妄語戒 偽りの言葉を口にせず真実を語り
第五不コ酒戒 妄執に酔わず真実を見つめ
第六不説過戒 他人のあやまちを許して助け励まし
第七不自讃毀他戒 自らを誇らず、人を謗らず
第八不慳法財戒 物心ともに惜しまず分け与え
第九不瞋恚戒 怒り起こるとも仏の心を忘れず
第十不謗三宝戒 御仏の教えを信じて疑わないこと
これら十の戒めを行わばすなわち、汝がそのままに仏なり。
以上、汝が胸に刻みし十六の戒めは、釈迦牟尼仏の護り保ちたる道にして、全ての歴代のお弟子様方の正しく伝え行ないしものなり。我今ここに汝に授く。汝、仏となるも、これをよく護り、保つべし。
信心の善男子(善女人)○○○○殿、今、汝が仏弟子名、戒名を○○○○居士(大姉)と授く。
ここに釈迦牟尼仏よりその弟子、またその弟子へと正しく相伝えられし血脈あり。血脈というはみ仏の弟子としての証なり。この血脈は釈迦牟尼仏より歴代祖師の系譜にして、嫡々相授けて○○代、〇〇寺住職我に至る。我今、新帰元○○○○居士(大姉)に授けん。汝、仏として、これをよく護り保つべし。
衆生受仏戒 即入諸仏位 位同大覚竟 真是諸仏子
この釈迦牟尼仏のみ教えを授かり行うならば、全ての者はみ仏の世界へと進む。その世界は悩みを離れて悟りの道に入りし方々の住むところなり。ここに今、新たな釈迦牟尼仏のお弟子の誕生なり。
南無大慈大悲哀愍摂受 南無大慈大悲哀愍摂受 南無大慈大悲哀愍摂受
一、修証義第一章
一、回向
正伝の大戒は明らかなること日月の如く、清浄光能く長夜の闇を照らす。衆生是に由り定慧の力を得る。万行具足し乃ち正覚を成ずるものなり。
仰ぎ冀わくは真慈、附して照鑑を垂れたまえ。
家門本月本日新帰元○○○○○○霊位葬儀の辰に値う。深く諸行無常の迅速なるを念じ、切に如来正法の難遇なるを嘆く。謹んで大恩教主本師釈迦牟尼仏の照鑑を仰ぎ奉り修証義を諷誦す、冀う所は、受戒本証の大法を明らかにし、本然清浄の性徳を開顕し利生報恩の妙行を修し、金剛不壊の仏果を証得せんことを。
○十方三世一切仏○諸尊菩薩摩訶薩○摩訶般若波羅蜜
一、鼓鈸三通
一、弔辞弔電
一、大寶楼閣善住秘密根本陀羅尼
一、秉炬・独詠・引導法語
生を明らめ死を明らむる祖門の禅
参じ去り参じ来たりて好縁を了ず
最勝の善身礙障ること無かれ
涅槃の一路機先に在り
恭しく惟みれば 新帰元
心操蜜々、行業綿々たり
諸縁を放捨し、真常界中、迷苦を忘れ
万事を休息す 功徳園裡 安眠を打す
天地同根 水流れて元海に入り
生死不二 月落ちて天を離れず
這裡に到って
帰元消息 如何が布宣せん
喝
看よ看よ相相無き法身
青山満目 夕日の前
一、喪主焼香
一、妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈(会葬者焼香)
一、回向
浮世の名利は只だ刹那に在り。寂滅の因縁豈に長幼を待たんや。
本日茲に道場を荘厳し、新帰元○○○○○○霊位の為に葬儀の礼をの伸ぶ。深く時節因縁の不可思議なるを観じ、高く仏陀慈恩の広大無辺なるを讃ず。仍ち釈迦牟尼如来の照鑑を仰ぎ奉り、妙法蓮華経観世音菩薩普門品偈を諷誦す。伏して願わくは発願利生の正念に住し、菩提薩垂の誓願を円成し、行事報恩の正信を擧し、即身是仏の妙境を荘厳せんことを。
○十方三世一切仏○諸尊菩薩摩訶薩○摩訶般若波羅蜜
一、鼓鈸三通
一、喪主挨拶
一、閉式、合掌礼拝
忌中法要
一、摩訶般若波羅蜜多心経
一、消災明吉祥陀羅尼
一、回向
ここに謹んで摩訶般若波羅蜜多心経、消災明吉祥陀羅尼を読経す集むる所の功徳は、大恩教主本師釈迦牟尼仏、大本山永平寺御開山高祖道元禅師、大本山總持寺御開山太祖瑩山禅師に供養し奉り、この上なき悟りの徳を仰ぐ。伏して願わくは、生きとし生けるもの総て等しく徳を得、幸福で平安ならんことを。専ら祈る所は、○○○○居士(大姉)中陰四十九日の間、○○家家内安全、厄災消除、親族縁者信心堅固、無病息災、心願成就、所縁如意吉祥ならんことを。
一、修証義第五章
一、舎利礼文(焼香)
一、回向
み仏の教えは世界に満ちて生きとし生けるものの心に深く入りたもう。仰いで仏法僧の三宝を冀い、伏して我らを照らし給え。○○家家門今月この日伏して○○○○居士(大姉)開蓮忌の晨に値う。謹んで諸々の供物を供え、恭しく修証義行持報恩、舎利礼文を読経す、集むるところの功徳は、○○○○居士(大姉)霊位に回向す。ちなみに初願忌初七日、以芳忌、洒水忌、阿経忌、小練忌、檀弘忌、大練忌四十九日、卒哭忌中百ヶ日を予修供養し、悟りの世界を清らかにす。願わくは心の華を開いて遍く世界を飾り、智慧の光円かに輝いて、永く迷いの闇を破らんことを。