ゲームマーケット2007体験記

2007年4月8日(日)浅草区民会館

開場5分後くらいの混雑。人気ブースは行列ができる 開場

2000年に始まったゲームマーケットも今年で8回目。参加者数は毎年順調に増え続け、ついに1000人を超えたという。出展者も定員オーバーとなり、早く申し込まなければいけなくなった。注目の1タイトルが発売されたり、それが売れなかったりするだけで言われる「流行」ではなく、マニアからごく普通の人へと広がることでむしろ潜在化していく「浸透」という印象を持った。

今年は「ボードゲームシンポジウム東京」が諸般の事情で開催されなかったので、前の日はたっぷりゲームを遊んでテンションを高め、当日は早めに家を出た。会場の浅草区民会館は東武電車の北口から5分。1年ぶりなので道を忘れているかと思ったが、行ってみると自然に思い出されてくるものである。午前8時45分着。すでに行列ができ始めていた。

ゲームマーケットはボランティアで運営されており、会場設営は早く来た参加者も手伝う。7時50分まで来場して、机や椅子の配置を手伝うと最初の整理券がもらえる。10人以上の人がスタッフの指示で机や椅子を並べていた。この手作り感が、ゲームマーケットの温かさだ。

会場設営が終わると、9時からブース関係者が入場できる。今度は各ブースの準備だ。私もヤポンブランドとゆうもあのかけもちで、意気揚々と入ってくる知人と挨拶したり談笑したりしながら、準備のお手伝い。戦を前にした不思議と和やかな雰囲気があたりを包む。でも、4月8日が花祭りであることを忘れてしまっていたところをみると、無意識に相当テンションが上がっていたかもしれない。

今回一番のレアゲーム『仔ぶた急便』

さて10時になると、恒例のコールに答えて開場。行列はさほど長くなかったが、入場するとみんな早足でお目当てのブースに向かう。熱心な愛好者にとっては、数の少ないゲームを手に入れられるかどうかは、最初の15分で決まるのだ。最初に行列ができたのは『おバカショッピング』のKing’sCourt、『仔ぶた急便』のチームきりたんぽ(仮)、『大量絶滅』の骨折ゲームズ、ウォーシミュレーションのSOLGER&TSS&TUBGあたり。企業ブースではニュルンベルクの新作を揃えた『バネスト』に殺到する。

かつて『モレール』が8分で売り切れという瞬殺記録をもっているKing’s Courtは、今回多めに用意して午前中くらいはもったようだが、入念にコンポーネントを作りこんだチームきりたんぽ(仮)は数が少なくて15分で売り切れ。骨折ゲームズも1分に1個という早さで売り切れた。企業ブースで販売した同人作家は、さすがにもっと数を用意しているのですぐに並ばなくても買える。だが、昨年のエッセン出展に続いて学研のゲーム発売などで注目を浴びるカワサキファクトリーでは、100個以上用意した新作はほどなく売切れてしまった。

ウェブで情報を予めチェックするのが当たり前になった現在、売れ行きはどうしても前回までの実績がものをいう。人気作家ならば100個ぐらいは問題なく売れるようだが、新人ではゲーム内容のよさや値段の安さがあっても思わぬ苦戦を強いられているところもあったようだ。

ゲームストアバネストは今年も大盛況

企業ブースでは輸入ゲームを扱うショップが大盛況。メビウスゲームズ、ゲームストアバネスト、ホビージャパン、アークライト、すごろくや、ジョイゲームズと6店もが出展し、それぞれの新作を披露した。メビウスゲームズはラベンスバーガー社やアミーゴ社などの新製品で『ノートルダム』『アルケミスト』『キャントストップ(新版)』。ゲームストアバネストはデイズオブワンダー社やエガートシュピーレ社などの新製品で『コロッセウム』『バトルロア』『グァテマラカフェ』、ホビージャパンは『ファイアー&アクス』『フォーミュラー・デー』などアスモデー社の新製品、アークライトは『メディチVSストロッツィ』などリオグランデ社の製品、すごろくやは『メルヘン王国を救え!』やキーホルダーゲームなどハバ社、セレクタ社の子どもゲームを数多く用意。ジョイゲームズはここ何年かの新作を多種類並べていた。お金さえあればいくらでも買いたいという人は多かったと思う。

そのほかのブースとしては、おすすめゲーム「ゆうゲームズ」の展示と日本ボードゲーム大賞の投票を行ったゆうもあ、昨年のエッセンの活動報告と新規募集をしたヤポンブランドも存在感を示せたと思う。特設ブースでは熊本の方による伝統ゲーム『うんすんかるた』の講習会が開かれ、多くの人が訪れていた。

公開オークションの風景。和気藹々としたものだ

一通り買い物を済ませ、やっと落ち着いた愛好者には、定期的に開かれる入札オークションと、午後からの公開オークションが待っている。出品されるゲームは伝説のレアゲームばかりで、マニア垂涎。もはやゲームマーケット名物となったオークショナーの小林氏と、詳しい解説をつけるスタッフのもと、今年もすごい値段がついていたようだ。

今年の来場者で印象に残ったのは、女性客の増加である。中には子ども連れ、赤ちゃん連れも見られ、かつての汗臭いゲームマーケットとは隔世の感がある。それに伴ってか伴わないでかは分からないが、男性客もオタクというよりはオシャレな格好の若者が目立つ。荷物を抱えてふうふう言っている人は相対的に少なくなり、仲間同士でワイワイ好きなゲームを遊び、ほとんど手ぶらで帰る姿のほうがよく目に付いた。このゲームマーケットを知った情報源はそれぞれだろうが、ミクシィや水曜日の会などの口コミも大きいかもしれない。ボードゲームは何か特別な趣味ではなく、ごく普通の趣味になりつつある。