ゲームマーケット2006体験記

2006年3月26日(日)浅草区民会館

仕事や留学で3年ぶりの参加となったゲームマーケットは、ずいぶん様変わりして見えた。

今回の私の居場所はNPOゆうもあのブース。ドイツ年間子どもゲーム大賞ノミネート全作品、日本ボードゲーム大賞受賞作品、そして今年制定したゆうもあ認定ゆうゲームズ全作品を展示し、興味を持ったお子さん連れやご夫婦に説明するという仕事。何度か「売ってないんですか」と尋ねられたが、ゆうもあは今のところゲームの販売にタッチしていない。売っているのは、情報誌の『シュピール』だけ。名前は聞いたことがあるけれども実物はなかなか見ないハバ社・セレクタ社の素晴らしいコンポーネントに足を止める人が多かっただけに、日本にそういうゲームが手軽に買える場所がないのが残念だ。

ときどきブースを抜け出して、いろいろ視察。今日の目標は「買わないこと」だったが、ここでしか買えない、しかももうすぐ売り切れる、みんながこぞって買っているなんていうとつい手が出てしまうもので、なかなか誘惑には勝てないものである。見ればそういう誘惑に惨敗してしまった(正確に言えば、惨敗するつもりで来た)人が重そうに荷物を抱えて歩いている。ドイツ人は家が広いくせに、エッセンなんかではフリースペースで遊ぶだけ遊んであまり買わない人が多いように感じたのだが、この違いはフリーク占有率の高さなのだろうか。それでも、あまり買わないで見にきた・遊びに来たというライトユーザーも確実に増えているようではある。

そのことを感じさせるのが、本部で行われていたオークションにあまり関心を持たず遊んでいた人たちの多さである。本部では例年通り、午後から公開オークション、ゲームサークルの集い、シュピレッタ賞の発表などのイベントを行っていた。いずれも例年に劣らず活況のようだったが、その一方で、レアゲームの高値取引には関心を示さず、当日買った定番のゲームを仲間うちで遊んでいる人の姿も目立った。4年ほど前は本部のイベントというと参加者の殆どがそちらに集まり、ブースでさえ空になっていたことを考えると、客層がいい意味で拡散しているなあと思う。子どもゲームばかり展示しているゆうもあのブースに関心をもつ人が増えたのも、一般層の増加を感じた一因だ。

参加者は第1回の2倍以上となる900人を超え、この会場の広さをもってしても手狭に感じられるようになった。ボランティアスタッフの負担も相当なものだろう。一般層の拡大という、我々がずっと待ち望んでいたことが、皮肉なことに運営面での舵取りをかえって難しくしているのかもしれない。しかし、ボードゲームが好きというごく単純な動機と、その周りに集まった仲間という人のつながりがある限り、このムーブメントは続いていくだろう。ゲームマーケットの未来は、一人一人が作っていく。

Free Bazar
本部で行われている委託販売。「昨日まで押入れの中で眠っていたゲームが笑っている」。ここがゲームマーケットの原点かもしれない。ほしかったあのゲーム、このゲームが安価で手に入るいいチャンス。 Gamestore Banesto
今回最大の賑わいを見せていたゲームストアバネストのブース。開館してすぐに人だかりができ、行列をなしていた。本邦初公開の乗車券メルクリンのほか、ケイラスベガスショーダウンキャッシュ&ガンズなど注目作がずらり。大商いとなった模様。 Ticket to Ride Märklin
これを買って持ち歩いている人がやたら多かった乗車券メルクリンのボード。ドイツが舞台。 Kawasaki Factory
カルタゴの貿易商たちロボトリーを販売したカワサキファクトリー。部数が少なくて15~20分で売り切れになってしまうところが多い中、多めの部数を準備して午後まで持ちこたえた。それでも最後は完売。 Grimpeur
グランペールは新キャラクター付きカラー版マジカルアスリートと、。「この製品は株式会社ナムコの講師の演習指導を受けた東北芸術工科大学ゲームデザインコースの学生の作品がもとになっています。」というストーリーリッチな陰陽道の2作を発表。 Playspace Hiroshima
フリーバザールで販売中のプレイスペース広島、伊藤さん。フリーバザールはカタログに掲載されないので知らない人もいるが実は毎年出展されており、珍しいゲームに出会えることもある。 Japan Carrom Federation
日本キャロム連盟によるキャロム卓。インド製とは比べ物にならないほどよく滑る。 NPO U-more
ゆうもあのブースで大・ニワトリのしっぽの格好をしている一階さんと、それを見て苦笑いの末原さん。スペース的に遊べないかと思われたが、この後実際に子どもを交えて遊ぶことができ、注目された。 Communication Game “Encyclopaedist”
ボードゲームのおもちゃ箱で千石一郎さんが発表した百科審議官。ひそかに決めたカテゴリーを推理するコミュニケーションゲーム。前日のボードゲームシンポジウムで、国産はルールが簡単なコミュニケーションゲーム、ワードゲームがほしいという意見が出た直後、ピッタリなゲームだった。箱がドイツ製かと思うほど超豪華。 Trick Take “Story of Water House”
タクヤさん作の落水邸物語。テーブルにカードを下から並べて家を作り、最後に上からトリックテイクのルールで水が流れるかを判定する。何色がリードカラーになるか予想したり駆け引きしたりする。システムもテーマもイラストも秀逸。これはトリックテイキング王国のドイツで販売を目指したい。 Dice Balance Game “Babel 5”
チームきりたんぽ(仮)のBABEL5。ダイスを振って、対応する塔の上に積み上げていくのだが、数字が小さいほど塔の頭が小さくて崩れやすくなっている。型を抜いて作ったという塔の作りこみに惚れ惚れ。 Pünct
残念ながら発売は間に合わなかった桃源郷のピュンクト。ヘックスを縦断すれば勝ちというゲームで、中央はこのように上書き合戦が繰り広げられる。一度置いたタイルを移動できるというルールが秀逸。でも難易度が高い。 Blokus Trigon
ビバリーはブロックストライゴンを10月に発表するとした。三角形のタイルを敷き詰めるもので、ブロックスではバランスが悪いとされていた3人プレイが実現する。デュオトライゴンブロックスと揃えて人数によって遊び分けよう。このほかビッグブロックスも発売予定。