山形自宅ゲーム会09/07/12

6月はあんなに暑かったのに、7月に入ると雨続きという変わった天気の中、自宅ゲーム会を開催。日々慌しい中でのゲーム会は一服の清涼剤どころではなく、もっと依存度が上がって精神安定剤といっても過言ではない。日曜日はさまざまな仕事が入るが、その合間を縫うようにしてゲームをしていた。今日の参加者は仙台から神尾さんとぽちょむきんすたーさん、郡山からくさのまさん、庄内からnagaさんで5名。

ホットココットコルテスレッツフェッツディクシット

ホットココット(Hot Cocot / 作者不明)

ホットココット日本人でもつかめないぜ

木の卵を箸でつかんで、卵立てに立てるアクションゲーム。箸が異様に短いことがまず気になるが、ゲームが始まると長さは問題ではないことにすぐ気がつく。というのも、弾力性のない卵をつかむのが難しいからだ。力を入れないと持ち上がらないし、力を入れるとすっぽ抜けて飛び出してしまう。いったいどうすれば?
ルールは椅子取りゲーム式である。卵はプレイヤー人数分あるが、卵立てはプレイヤー人数より1つ少ない。卵を入れられなかった人は脱落。こうして1人ずつ減らしていき、最後は1対1のサシで勝負。なかなかエグいルールだ(エッグだけに)。
こういうアクションゲームは、1分くらいの間に決着がつくものだが、卵がなかなかつかめなくて、皆3分くらい苦闘していた。そのうちテーブルから転がり落ちたり、拾って別の卵にチャレンジしたりとたいへん。
でもだんだんコツがつかめてきた。箸を「く」の字に持つと力のベクトルが外向きになって卵を固定できないので、極力平行に「ニ」の字にして持つ。このコツをつかんだ人から上がり始めた。私は卵が置いてある卵立てを壁にして持ち上げるという姑息な手段で上がった。くさのまさん脱落!
それでは第2回戦……と思ったがみんな「もういいです。」集中力と神経を使い果たしてしまったようだ。小さい頃から箸を使ってきた日本人ですらこうなのに、製造元のフランスでは長時間ゲームになるのでは?
これでゆで卵を箸でつかむのは余裕だ!

コルテス(Cortez / H.ヒューバー / ピアトニク, 2001)

しぶといアステカ軍

16世紀、アステカ王国の首都テノチティトランを巡り、アステカ軍とスペイン軍に分かれて勢力を争う壮大な歴史ロマンボードゲーム。ピアトニク(オーストリア)のゲームはあまり日本で一般発売されないこともあって、このゲームも未紹介のまま8年が経過している。
プレイヤーはアステカ軍かスペイン軍のどちらかに分かれて戦い、テノチティトランを目指す。ここに最後に多くコマがいるほうに得点が入る。だが、それ自体は得点の一部でしかない。一番の得点源は、テノチティトランにいる自分のコマのみ。予め指示されたマスにいればなおよい。だから、同じ陣営での協力は最小限で、時には味方同士で争うことにもなる。
手番には、イベントカードをめくってから2アクションを行う。イベントカードにはテノチティトランにコマを入れたり出したりして勢力を変えるもののほか、手札制限や、特殊能力が手に入る賄賂カードの競りを起こすものもある。アクションは移動か補充か。補充には戦争で使う戦士カードと、いろんなアイテムが入っている品物カードがある。
移動で敵のコマに入ったときに起こる戦争が、このゲームのメイン。お互いに戦士カードと武器カードを裏にして出し合って、どちらも出すのをやめたら表にして合計する。枚数が多くても弱い戦士を出しているかもしれないので、勝敗は開けてみるまで分からない。またこのとき、ほかのプレイヤーにお金を払うなどして援軍を頼むこともできる。
勝つと敵を追い出せるだけでなく、自分のコマを増やすことができる。そしてコマを増やす方法はこれしかない。というわけでひたすら戦力を矯めては戦うというのを繰り返すことになる。1位のプレイヤーを狙うのは基本だが、戦争を終えたばかりで手札が少ないプレイヤーを狙うのもよい手だ。溺れた犬は叩かれる。弱り目に祟り目でもいじけないように。
補充に走る皆を尻目に、真っ先にテノティティトランを目指す私。スペイン軍の味方が多かったこともあって1ラウンド目はトップで通過した。だが誰でも自由に攻撃できるこの手のゲームは序盤トップというのが一番いけない。やはり2ラウンド目の終盤、集中攻撃を受けてずるずる後退。神尾さんがトップかと思ったら、それまで目立たないでいたアステカ軍のくさのまさんが手札に大量のお金を蓄えていて見事に逆転勝利。
戦争は出たとこ勝負だが、その分カードの出し合いが熱く、また時折起こる競りもいいスパイスになっていて、最後まで白熱した戦いだった。これが一般発売されなかったのはもったいないことである。

レッツフェッツ(Letz Fetz / M.ケラー / シュピールシュパス, 2009)

切り絵とちぎり絵の芸術

サングラス、ベビーベッド、頭蓋骨など、2つの言葉からなる単語を、新聞紙をハサミで切ったりちぎったりして当ててもらうクイズゲーム。とても盛り上がった。
親はダイスを2個振る。1個は1~6の数字で、お題カードの番号に対応している。もう1個はハサミか手が書いてあり、ハサミなら切り絵、手ならちぎり絵にする。ハサミや手が2つ書いてあれば、単語の前半を親、後半を左どなりの人が担当して別々に製作する。お題カードを見たら、砂時計をひっくり返してスタート。
くさのまさんはハサミでダルマのような形を切り取った。そのとなりでnagaさんはクッキーのような形をちぎっている。クッキーの真ん中には小さい穴。これいったい何? ほかのプレイヤーは早い者勝ちで思いついた答えを言う。当たれば作ったほうにも当てたほうにも得点が入る。
砂時計が落ちたら解答。ダルマのような形は「スノー」、穴が開いているクッキーは「タイヤ」だったそうな。いや絶対分からないです!とひとしきり盛り上がる。写真は「ベビー」「ベッド」。これもベッドしか当てられず、解答で笑った。
親は文字や数字を切り抜いてはいけないし、しゃべってもいけない。ただし作ったものを動かしたりしてもよい。『できるかな?』のノッポさんの気分である。ただし時間が少ないから大焦り。ノッポさんの足元にも及ばない作品が、また笑いを誘う。
単語の前半と後半を2人で分けて作るというアイデアが秀逸である。片方だけでは絶対分からないようなものでも、2つ合わせれば答えが連想できることがある。
惜しむらくは、ドイツ語のお題そのままを翻訳したものでは無理だということ。「鳥の巣」などのように「の」が入ってしまう。今回は日本語のお題を自作したが、たくさん入っているお題カードがもったいない。同人でもいいので日本語版を出したほうがよいだろう。

ディクシット(Dixit / J.-L.ルービラ / アスモデ, 2008)

イメージはびんびん通じやすく

絵のイメージを、できるだけ少数の人しか分からないように伝えるという風流なフランスのボードゲーム。フランス年間ゲーム大賞を受賞している。
カードは全部別々の絵が描いてある。メルヘンチックなものから、シュールなものまでいろいろあって、眺めていても飽きない。親は6枚の手札から1枚、イメージを言って裏向きに出す。イメージというのは一単語でも、ストーリーを語っても、歌を歌ってもよい。ほかのプレイヤーもそのイメージに近いと思うカードを1枚ずつ出す。全員が出したものをシャッフルして並べ、左から番号を付ける。さあ、この中で親が出したカードはどれ?
親は見ているだけ。ほかのプレイヤーはこれぞと思う番号タイルを自分の前に出し、全員が出したらオープンして答え合わせをする。
正解者が1人でもいれば親は得点できるが、全員が正解だと親は無得点になってしまう。ほかのプレイヤーは正解だと得点、それからほかのプレイヤーが不正解で選んでもらえたときも得点になる。親としては、全員正解になるとまずいのはもちろん、正解者が多くても皆に得点をあげてしまうことになるので、できるだけ少数の人にしか分からないようにイメージを伝えなければならない。
親を交替して次のラウンド。山札がなくなるまで続け、得点の一番多い人が勝ちとなる。
できるだけ少数の人にしか分からないイメージというのが難しい。今回は「恋占い」(花びらを抜く絵、写真)や「ドラクエ」(お城で剣を持っている絵)なんていうのは全員に正解されてしまった。かといってひねくれたイメージでは誰にも選んでもらえない。解答がばらけてよかったのは「夜」など、曖昧でどの絵にも当てはまりそうなイメージである。
一単語でもこんなにバレバレなのに、ストーリーなんて語ったら特定されまくってしまうのではないだろうか。『それ何やねん?』と同様、感性が似通っていて、察することに敏い日本人には、瞬殺されてしまいそうなところがこのゲームにはある。どなたか、上手なお題の出し方を教えてください。

くさのまのボードゲーム&その他日記:一期一会ゲーム会(09-7-12)