つくば自宅ゲーム会09/03/25

つくば自宅ゲーム会09/03/25

つくばから山形に引越しはしたが、部屋はそのままにしてあり、月に1度くらいは様子を見にいくことにしている。このたびも2泊滞在し、その間に自宅ゲーム会を開催した。平日にもかかわらず、都合を合わせてくださったかゆかゆさん、ふうかさん、karokuさんに感謝。

最後の鐘写字室と写本師猟師の猫さんイラスト募集中

最後の鐘(Saigo no Kane / M.ポドシアドロ / ウォルフ・ファング, 2008)

最後の鐘金で心は買えない

日本の学園ものをテーマにしたポーランドのゲーム。生徒会長の候補たちが、アイテムや仲間を増やして得票数を競う。そういうアニメは実際ないみたいだが、登場人物とか、学校のクラブ活動の設定とか妙に細かい。これは相当好きな人物が作ったに違いない。

 ゲームは見かけとは裏腹にしっかり作りこまれていて、ネタゲーではない。ラウンドの最初に、集めるべきアイテムの目標を決める。お金、心、各種の才能を一定数集めれば、得票やカードが得られる仕組みだ。
 目標を決めたら、順番にアクションを行って実際にアイテムを集める。登場人物は心で、道具はお金で手に入れることができ、これを使うことでさらに心やお金を増やしたり、演劇やスポーツなどの才能を手に入れたりできる。登場人物の色はクラブを表しており、同じクラブを集めることでアイテムの効果がアップするなど芸が細かい。目標と手持ちを見比べながら効率よく計画的に取っていかなければならない。
 全員することがなくなってアクションをパスしたら、アイテムを支払って得票などを得る。さらに残ったアイテム数の多い人に得票があって次のラウンドへ。最終ラウンドは、必要なアイテム数も多いが得票も多いので逆転もありうる。

 第1ラウンドで心の数を競るのに心を使い切ってしまうという痛恨のミスを犯してしまう。そこで安価にアイテムを手に入れたかゆかゆさんが終始独走。2位につけたkarokuさんが3位のふうかさんとつぶしあいになり、かゆかゆさんが初代日本チャンピオンに認定された(言った者勝ち)。出遅れた私はジリ貧で、味方に付く登場人物も道具も増えない。最後は3位のふうかさんの半分もなかった。
 序盤の差をうめる手立てがなかなかないけれども、直接攻撃がなくて各自が計画で競争できるのがよい。プレイ時間も2時間超で、内容だけでなくプレイ感の重さまで見かけを大きく裏切られるゲームである。

写字室と写本師(Scripts and Scribes / S.フィン / ドクターフィンズ・カードカンパニー,2008)

カード振り分けに企みあり

聖書の複製に関わる5つのアイテムで最多賞をめざすカードゲーム。アメリカの個人メーカーから発売されたマイナーなゲームだが、フランスのゲームデザイナー、B.フェデュッティがマイ・ゲーム・オブ・ジ・イヤー2008で高く評価したり、アメリカの『ゲームズマガジン』のベストファミリーカードゲームのノミネートされたりしたことで有名になり、日本にも入ってきた。現在は品切れしているが、作者のホームページによると(おそらくヨーロッパの)大きな出版社から発売されるという。

 1ゲーム30分もかからない軽いゲームだが、熱い駆け引きが楽しめる。というのも、最多賞を狙って集めるカードが2回に分けて集められるからである。
 1回目は、カードの分配。手番プレイヤーが山札から1枚ずつめくって、それを自分で取るか、ほかのプレイヤーにあげるか、次の山札に仕込むか選ぶ。自分で取ったものが何かは、ほかのプレイヤーには分からない。でもほかのプレイヤーにあげることにしたカードを見て、何を集めていないかはある程度推測できる。
 2回目は、山札に仕込んだカードをシャッフルして1枚ずつ競り。競りには1回目に手に入れたお金カードを使う。今度はオープンなので、競り値のつけ方で何を集めているか分かる。2位では何ももらえないから、自ずと熱くなる。
 ゲームをドラマチックにするのが、司教カードだ。これが使った人は好きなアイテムでトップ賞の得点(ダイス目)を±1だけ変えることができる。プラスの司教カードなら自分が集めているものを上げたいし、マイナスなら集めていないものを下げるだろう。大枚をはたいて高値で競り落とした直後に下げられたりしたら涙。
 山札がなくなった時点で、手札を全部公開してアイテムごとに合計の数字を比べる。アイテムによってカードの構成が異なり、ちょっと集めるだけでトップ賞が取れそうなものと、そうでないものがある。その上、最初に何枚か抜いておくので何枚集めれば確実か分からないようになっている。絶妙だ。

後半の競りでは、誰が何を集めているか、どちらがトップ賞を取れそうかがだんだん明らかになってくる。そこで司教の攻防が熱い。karokuさんとかゆかゆさんが熱い競りを繰り広げていたので、私とふうかさんでそのアイテムを下げる。それでかゆかゆさんのトップ賞は2つが1点ずつというひどい状況だったが、ノーマークだったアイテムで3点取り(つまり5アイテム中3アイテム取ったことになる。これはすごい)、5点で1位。私は1アイテムで4点取れたが及ばず。
 地味に集めて熱い競りをしなければトップを取れるか分からず、熱い競りをすれば司教で下げられるというジレンマ。仕込むカードとそのカードが出る順番にもよるが、仕込んだ時点で狙った通りの効果があると愉快だ。繰り返し遊びたいゲームである。

猟師の猫さん(Cat & Fish / L.ドンフン / ヴィジョナリー, 2008)

緻密なネコの漁業

昨年のエッセンで韓国のメーカーが発表した重量級ゲーム。イラストはほのぼのとしているが、その実は本格的な漁業ゲームであり、ワーカープレイスメントや特殊能力といった現代ボードゲームの粋が見事に用いられている。

 まずは自分のコマを「魚の釣り」「船の移動」「魚の売却」「カードの購入」「宝箱」「特殊カード」「お邪魔タイル」などに1つずつ配置し、アクションを選択する。アクションには定員があり、それ以上は選択できない。先に取られないよう、自他のやりたいことをよく考えて配置しなければならない。『ケイラス』以降、フリークゲームで多用されている「ワーカープレイスメント」というシステムだ。
 移動と釣りは中央のボードで行う。コマを移動して、隣接するタイルをめくる。島の沿岸では安い魚しか釣れないが(骨しかないことも!)、カードを買えば遠洋で大きな魚を釣ったり(鯨とか!)、一度に何匹も釣ったりできるようになる。釣った魚は自分の倉庫へ。この倉庫もまた、カードを買うことでたくさんの魚を収容できるようになる。特殊能力でほかの人ができないことをできるようになるのは気分がいい。
 釣った魚は季節によっていくらで売れるかが書いてあり、額面の収入になる。収入はカードの購入に使うが、最終的には持ち金勝負なので、無駄な買い物をしないようにしたい。大きい倉庫を持っていれば、まとめて売ることもでき、さらに商人で収入額を上げることもできる。
 宝箱や特殊カードは、ほかにアクションがないときの手段で、臨時収入やすごい効果も入っているが、ハズレもある。お邪魔タイルは主にトッププレイヤーを叩くのに使う。
 各ラウンドの最後には、組合への納税としてお金か魚を払わないといけない。払えなければマイナスというところも今風。

 序盤、骨ばかり引いていた私は、なけなしのお金で3人目のアクションコマを手に入れて遠洋漁業に打って出る。鯨を売れる「闇市」も手に入れ、独占的に儲けることができた。しかしウハウハとばかりはいかない。4ラウンド目の最初に、最下位のプレイヤーが手に入れるタコに襲われ、逃げ回っているうちに資産が激減。そのうちに、大きな倉庫でがんがん儲けたかゆかゆさんが最下位から急進。5ラウンド目のタコもうまくかわして1位。
 手に入れたカードの種類によって戦略が変わり、競合しなければそれぞれの得意分野で大儲けするチャンスが必ずある。そのチャンスを逃さないことがポイントだ。同じカードでも後から買うほど安くなったり、魚の値段が上がる冬は泥棒ができたりと、細部にわたって詰められているのがよかった。直接攻撃は仕掛けるほうにメリットが少ないのはよしあしだが、位置取りの妙もあってドキドキしながら楽しめる。

イラスト募集中(Einfalls-Pinsel / K.トイバー / ASS, 1989)

ゲーム内容はこちら。終電の時間が迫っていたのでディスカッションの時間なしで直感的に遊んだ。広告のコピーは直訳しているが、ブランクカードもついているし日本風にローカライズしてもよさそう。

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