ヤポンブランドテストプレイ会 07/09/04

ヤポンブランドテストプレイ会 07/09/04

ヤポンブランドで、今年のエッセン国際ゲーム祭に持ち込むゲームをテストプレイ。国産ゲームを世界に売り出すプロジェクトであるヤポンブランドは、昨年初めてエッセン国際ゲーム祭に出展し、いくつかの作品が海外メーカーから出版されることになるなど上首尾であった。今年も第2弾として10タイトルほどがドイツに乗り込む。
 現地でインストするために行われたテストプレイ会。外国人相手では途方に暮れそうなゲームもあるが、今年も成果が上がることを楽しみにしたい。

ハイスクールエレクションごいたキュージェットルールの達人二四棋DX落水邸物語

ハイスクールエレクション(High School Election / 北崎 あゆむ / ロール, 2004)

ハイスクールエレクション生徒会長の票読み

団体を味方につけ票数を増やして生徒会長の座をものにするカードゲーム。自分の前に団体カードを並べ、どの部活が支持しているか示す。ほかの部活と組み合わせると票数が伸びたり、ライバルの団体カードに攻撃を仕掛けたりするものもある。
 団体カードはライバルの標的。行動カードを出すことで寝返らせたり除去したり、あっという間に勢力を削ることもできる。目立ってはダメだ。
 一方、一般票カードというのもあって、山札から引いて伏せて並べておける。こちらは票数が少ないが、狙われにくいので確実。表の団体カードと裏の一般票カードをうまく組み合わせて、票数トップを狙いたい。
 序盤目立った大葉さんがつぶされる中、最後に団体カードをごっそり貯めたたけるべさんが1位。こそこそと一般票カードを集めていた私は今ひとつ及ばず。行動カードの派手な直接攻撃を、一般票カードでうまくバランスを取っていると思った。テキストが多いので外国人が遊ぶにはつらいかもしれないが、アニメ好きが注目しそう(エッセン国際ゲーム祭は、同じ会場でコミックアクションというアニメイベントが同時開催されている)。

ごいた(Goita / 伝統ゲーム / グランペール, 2007)

3人でも楽しい

ゲーム内容はこちら。普通は2対2のチーム線だが、3人で遊ぶこともできる。配りきって、同じ札が4枚入っていたら1枚を隣の人に渡す。受け取った人は、中を見る前に1枚あげて交換。
 香が3枚あると写真のようにかなり強いとか、手札による強弱はあるものの、相手の札を推理する楽しさは変わらない。一か八か出した札が通って上がれたときの喜びったらもう。
 慣れた人同士だと、カードを出すまでの時間もまた推理の拠り所となる。私は1度やったきりだったので、たどたどしく出していたら2人がすっかりリズムを崩してしまい、おかげで勝てた。

キュージェット(Q-Jet / W.リーデッサー / メビウスゲームズ, 2004)

マシンセッティングも楽しい

ゲーム内容はこちら。エッセンは正式出展ではなく、メビウスゲームズの御厚意で商品が寄付される。
 日本語ルールブックの末尾にあるマシンセッティングルールがシビアで面白い。まず山札を4つに分ける。分け方は自由だが、6の山札、5の山札など数字別にしておくのがよいだろう。手札は2枚。補充は好きなところからできる。
 さらに先手番の有利をなくすため、1番手は3のカード、2番手は2のカードを捨てる。これだけでもかなりきつい。こうして手番の順序の有利不利をなくし、さらに補充をコントロールできるようにして戦略性を高めたマシンセッティングルール。結果は1番手のたけるべさんと2番手の私がゴール前でリタイアというすごいものになった。遠回りはほとんどできないわけだ。しかし手札2枚でどう凌ぐのか……熟練が必要のようだ。

ルールの達人(Master of Rules / 川崎晋 / カワサキファクトリー, 2007)

ダミープレイヤー2も楽しい

ゲーム内容はこちら。5人で遊ぶのが基本だが、3、4人+ダミープレイヤーで遊ぶのも面白い。このダミープレイヤー君、一部では空気読めない奴として人気があるらしいが、今回はなぜか見事に空気を読んでくれた。
 3人プレイの新ルールでは、1周目を出し終わった後にダミープレイヤー1がルールカード(2周目のルールを縛るため)と数字カードを一気に出し、2周目の最後にダミープレイヤー2が数字カードを出す。2人がランダムになるので運まかせかというとそうでもない。ダミープレイヤー1の数字を見てからルールを選べるので、確率を計算すれば割とうまくいくものだ。
 オンリーワンとリミット23を2枚ずつ集めて、どちらかでボーナスを取るという目論見でいったが途中からことごとくダミープレイヤー2に阻まれる。3人ともまともにルールを達成できないまま、大葉さんの勝利。ルールがどんどん達成される展開もいいが、なかなか達成されなくて悶える展開も面白い。展開の多様さはクラマー先生が挙げるよいゲームの条件で、また遊びたくなる好ゲームだ。カードゲームだしコンポーネントも手作り感が残るが、今回のヤポンブランドで最大の目玉だと私は思っている。

二四棋DX(Nishiki DX / 椎野貴朗 / しーの・トイ, 2007)

強い武将にもアキレス腱

可動式のタイルの上で戦国武将が戦を繰り広げるボードゲーム。構成が少ない小伝と、たくさん入ったDXがある。拡張が出る気配だが、どちらもスタンドアローン。
 自分の武将や侍は手前の城に空きタイルをもってくると置ける。そこから『チクタクバンバン』(分かるかな……?)の要領でタイルをスライドさせ、敵の武将や侍の近くへ。ダイスを振り合って勝ったほうが相手を捕虜にできる。捕虜がたまれば新しい武将を手に入れ……こうして空いている相手の城に乗り込んで攻城に成功し、破壊ポイント3つで勝利となる。
 武将や侍は前後左右で異なる数値が書かれており、これが戦闘ではダイスに追加される。前と右ばかり強い武将も、背後から襲われると弱かったりするので、位置取りが大切だ。
 タイルは相手が乗っているのも含めて自由に動かすことができる。敵軍を自分のところに引き寄せてバッサリなんてことも可能。縦横に接していなくても飛び道具で攻めてくるのもいて油断できない。
 4人で遊ぶ場合は2対2のチーム戦。相手を倒すのは簡単だが、城から補充するのが難しいのでボード上は閑散気味になる。その隙にお城に乗り込めばいいのだが、タイルが詰まっていてなかなか寄り付けない。そのうちまた敵が補充されてきて……というように一進一退の攻防が続いた。1時間やって破壊ポイントは1つだけ。全滅しても終わりなので、2時間ぐらいやって補充できなくなれば終わるのだろうか。戦の雰囲気は満点なので、もう少し収束性を上げて1時間ぐらいで終わるようにしてもよいのではないかと思う。あと漢数字を使用していて、外国人にとっては難しいというのもネックだ。

落水邸物語(Origin of Failingwater / 佐伯 拓也 / 落水邸物語, 2006)

流れてきたらいいんだが

最終トリックからプロットしていくというまったく異色のトリックテイキングゲーム。昨年のゲームマーケットで好評を博し(ゲームマーケット2006新作評価アンケートで2位)、今回ついにエッセンでビューとなる。
 第6トリックから、自分の色の列にカードを1枚ずつ置く。第5、第4……として第1トリックにカードを置き終わったら水が流れる。すなわち、まずスタートプレイヤーの列の最初のカードが第1トリックのリードカラー。勝った人は得点カードを受け取る。勝ったカードの下にあるカードが第2トリックのリードカラー。勝った人が得点カードを受け取る。このようにして第6トリックまで行い、得点カードの合計で勝負する。いたってシンプルな構造ながら、おそらくドイツ人も今まで考えたことがないような突飛なアイデアでゲームが作られている。
 最初にカードを置くときは、どれがトリックを取れそうかなんてまったく分からない。大きい数字を出していても、その色がリードカラーにならなければ負けだからだ。せめてこの色がリードカラーになったら勝てるくらいの気持ちで出しておく。
 大事なのは最後に置くカード、つまり第1トリックのカードだ。リードカラーが何になるかで、水の流れはまったく変わる。ここまでにカウンティングして勝つ確率の高いカードを残しておきたい。
 序盤は特に運任せで場をコントロールしにくいゲームだが、やりこめば見えてくるものもありそうな気がする。大きなポテンシャルを感じるゲーム。

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