福島ボードゲームズ 07/04/13

福島ボードゲームズ 07/04/13

郡山のボードゲームサークル、福島ボードゲームズに参加。このサークルは昨年11月に発足し、月1回のペースで活動している。開場は郡山駅前のビッグアイというビル内でアクセス抜群。小山のれいんぼうもそうだが、駅すぐというのは参加しやすくてよい。将来、新幹線の各駅に1つずつゲームサークルがあるなんていうことがないかなぁと夢想してしまった。
 この会は秋葉原の水曜日の会と同様、平日に開かれているので、普通の勤め人には参加が難しい面もある。しかし職種の多様化に伴い、土日は仕事という職種の方などが参加して1卓ぐらいはコンスタントに立っているようだ。開催告知はミクシィ内のコミュニティ「福島県でボードゲームを楽しもう」で行われている。
今回はゲームマーケットで入手した同人ゲームに初挑戦。

アルケミストおバカショッピングルールの達人なかま集めメディチ対ストロッチハーメルンのたて笛トランプ、トリック、ゲーム!くいずですバンジー

アルケミスト(Alchemist / C.ロッシ / アミーゴ, 2007)

アルケミスト素材のご利用は計画的に

キノコ、ヘビの毒、トリの足、クモ、トロルの目玉。これらの怪しげな材料を調合して名誉を高めるゲーム。作者はイタリア人で、アミーゴ社はこのところ海外から新風を取り入れようとしているようだ。
 手番にはレシピを作るか、他人のレシピをコピーするか、材料を補充するかのいずれかを行う。ボード上にあるのは10の鍋。ここにまずオリジナルレシピを作る。手元から好きな組み合わせで材料を鍋の上に置き、そのレシピの価値(1~10点で早い者勝ち)を決定。さっそくその価値の名声ポイントと、生成物となる2つの材料をゲット。こうしてボード上にはさまざまなレシピが作られていく。
 ほかの人もすでに作られたレシピと同じ組み合わせの材料を出せれば、同じ名声ポイントと生成物が得られる。レシピの考案者は報酬として材料を1つもらえるが、自分ではその鍋をもう使えないところがミソ。誰でも作れるような簡単なレシピにすれば、みんなに利用してもらえ材料も入るだろうが、その分みんなが名声ポイントを伸ばすことになってしまう。名声ポイントの高い鍋は、材料の数を多くしてやすやすと名声を取らせないようにしなければならない。
 鍋を利用する立場からすれば、手に入りやすい材料を元手に、名声ポイントの高い鍋を数多く利用できるような道筋を考えたい。「えっとー……今の材料からすると、こっちの鍋でキノコにして、あとは目玉がもらえれば、10点のレシピが作れるな」打算的なわらしべ長者だが、手持ちと考え合わせながら、効率的に鍋を利用する順序が大切だ。
 さらに、ゲームの最初には1つ材料が指定されていて、ゲーム全体で多く使われた順に最後に名声が入るという隠れ目標もある。これらを考え合わせて総合的に考えよう。
 序盤は自らレシピを作らずにコピー専門でいたが、これでは材料が入ってこない。途中から慌てて2つのレシピを作ったが、価値が高くなかったため今ひとつ利用してもらえず。材料が回らない上に、自分の隠れ目標であったトロルの目玉も不良在庫が出てビリ。序盤のレシピを自由に作れる選択肢の広さと、中盤以降の鍋の利用順序を考える戦略性が見事にマッチしていてとても楽しめた。頭を使うが、ほかプレイヤーに委ねられるランダム要素があるためアブストラクトのようなガチ思考までは求められない。時間も45分程度と、内容とプレイ時間のバランスがいいゲームだと思う。

おバカショッピング(Obaka Shopping / のーべー / King’s Court, 2007)

テレビ通販という名の虚構

高枝切りバサミ、包丁セット、風水開運財布……よくある通信販売のアイテムに、「今ならさらにもう1つおつけします」「ビデオ10本付」「限定○○セットの販売」とよくある宣伝文句。この組み合わせをちょっと変えただけでこんなにおかしいとはビックリの、お笑いカードゲーム。2007年のゲームマーケットにて、お笑いゲームでは定評のあるKing’sCourtから発売された。今年は例年よりも数を多く準備していたそうで、開場直後の売り切れはなかったようだが、長い行列ができていた。
 自分の前に並んだ4つの商品。ここにプレゼンテーションカードを色別に並べて、数字をカウントアップしていく。合計が10以上で放送できるが、16以上になるとバーストで放送中止になってしまう。どこまで放送せずに我慢するかの判断が悩ましい。King’sCourtのゲームの魅力は、ネタゲームにしっかりシステムが織り込まれているところにある。
 しかし何と言っても、商品とプレゼンテーションカードの妙な取り合わせががこのゲームの醍醐味。失禁尿漏れパンツに「お試し10g」……おしっこのサンプル? カタンの開拓者3Dエディションに「多機能リモコン付き」……何が出てくるの? デラックス棺おけに「全長75cmのビッグサイズ」……屈葬かよ!
 一度盛り上がったら、もうやめられない。ゲームの魅力がプレイヤーに大きく左右されるタイプのゲームなで、ポテンシャルを十分に引き出せるメンバーも必要になるだろう。

ルールの達人(Master of Rules / 川崎晋 / カワサキファクトリー, 2007)

たった1枚が悩ましすぎる

昨年のエッセンで世界的に高い評価を得、また国内でも学研のゲームをデザインしている川崎晋氏の新作は、5つのルールを同時かつばらばらにめざすという新種のカードゲームである。洗練されたゲームシステムは全く無駄がなく、美しささえ感じられる。これも海外で一般発売されて、日本に逆輸入されることになるのだろうか。
 配られた4枚の数字カードと3枚のルールカードのうち、場に出すのはそれぞれ1枚だけ。自分が出したルールが、全員が出したカードの中で達成されていればポイントになる。
 ルールは5つで、前に出した人とかぶってはいけないからそれぞれ早い者勝ち。5人で遊べば、5つのルールが同時進行することになる。
・Limit 23……合計が23以下
・Trio……色か数字が同じカードが3枚以上ある
・Best of the Bests……最多の色の中で自分のカードが最高
・Only One……ほかの人と色も数字もかぶっていない
・Support→……右隣の人がルールを達成
 出てくるルールの順番によって生まれる微妙な協力・敵対関係は絶妙。同じ色が3枚出れば勝てるTrioと、その色の中で数字が強ければ勝てるBestof Bestsは同じ方向性を持っているので相性がよい。Supportの人も味方についてくれるだろう。一方、Limit23やOnly OneはSupportの協力があっても難度がやや高いかもしれない。
 2周の間に数字カードとルールカードを出すが、その順番はどちらからでもよい。数字カードを先に出してみんなの出方を伺おうとすれば、自分が出したいルールカードを先に出されてしまうかもしれない。かといって最初からルールカードの決め打ちは早々に潰される危険がある。手番が後になるほど出すカードを絞り込めるが、出したいカードが出せなくなるというジレンマだ。
 達成したルールカードは1枚1点だが、同じルールを3枚集めたり、全種類集めたりするとボーナスも入る。カードの補充は公開の場札からで、この選択も勝敗の鍵を握るだろう。
 もっと大味な展開になるのかと想像していたが、実際は非常に緻密だ。考えないでプレイすると確実に負ける。「次の人はあのルールにするだろうから、この数字では自分のルールが達成できるか分からない。それなら別の数字にしておこうか。いや、でもそうすれば次の人は別のルールにしてくるかな? だったら……あぁ~分からん!」
 相性のよいTrioとBest of Bestsを3枚ずつ達成して1位。

なかま集め(Affenbande / R.クニツィア / ラベンスバーガー, 2003)

確率まで計算したら

クニツィアが作った子ども向けのくじ引きゲーム。袋の中身を見ないで1つ引く。自分の色だったら当たり~。ほかの人の色だったらハズレでもう1回。またハズレだったらその色の人に渡して交替。これを繰り返して自分の色のおサルを先に全部集めた人の勝ちだ。
 最初は全くの運だが、同じ色のおサルが数多く出ると、その分袋の中のその色のおサルは少なくなるわけだから、勝ちがちょっと遠のくことになる。こうして自動的に差が縮まるようになっているところが、クニツィアらしさだと思う。「36個の袋から順番に引いて○手目に同じ色が6つ揃う確率」なんていったら立派な確率の問題だ。
 そんな確率の話はさておき、ただ引くという行為自体にこのゲームの魅力はある。今回はカンケさんのお坊ちゃん(4才)が参加したが、袋から自分の色のおサルを引いたときの満面の笑顔はすごく印象に残った。子どもゲームのプリミティブな面白さを再確認(ちなみにカンケさんのお坊ちゃんはこの後カヤナック、ヘックメック、ワニに乗る?を連続プレイ。その素質は並の4才児ではない)。

メディチ対ストロッチ(Medici vs Strozzi / R.クニツィア / リオグランデ・アバクス, 2006)

エッセンでのレポートはこちら。今回は相場が無闇に高騰してしまって、2人とも元金割れしてしまう。高く吹っかけられれば、買わなければいいだけの話で、たとえ商品がほとんどなくても、相手が自分でお金を減らしてくれれば勝機は十分にある。これを踏まえて同じ相手と続けて対戦すれば、回を重ねるごとにぎりぎりの相場の戦いになっていって楽しいと思う。

ハーメルンのたて笛(- / 佐藤敏樹 / ボードゲームのおもちゃ箱, 2007)

バーストからトリックテイクへの道筋

昨年のエッセンでトリックテイキングゲーム『テケリ・リ』を発表したさとー氏が、バンブスシュピーレのイラストも手がけたpuppi氏のイラストで発表したカウントアップ&トリックテイキングゲーム。ネズミ退治を依頼された笛吹きが、最後に子どもを街から連れ去ってしまう童話『ハーメルンの笛吹き男』をテーマにしている。
 はじめはカウントアップの「ネズミ捕りフェーズ」。順番にカードを出して合計を足し合わせていき、21以上になったらドボン。-1とか、リバースとか、次の人は2回とか、カウントアップに欠かせないカードはもちろん入っている。
 誰かがトボンしたらチップを場に出して、トリックテイキングの「神隠しフェーズ」に移る。場札を2枚出して争奪戦だ。手札はそのままだが、ここでびっくり、上下逆さまにして別の数字が書いてあるほうを使う。切り札は「ネズミ捕りフェーズ」の前に決まっているから、カウントアップに熱くなりすぎないようにして有利な手札を温存しておくのがポイントになるだろう。
 こうして両フェイズで同じ色のカードを多く集めた人が場のチップを総取り。規定ラウンドで一番チップの多い人が勝ち。
 まったく性格の異なる2つのカードゲームを、手札整理という観点で橋渡ししてあるのは見事。特殊カードを覚えないとテンポよくならないが、効果が2つのフェーズで変わるのも面白い。カードの上下にある数字の関係をきちん把握して、両フェイズともにもっとうまく立ち回れるようになりたいと思った。

トランプ、トリック、ゲーム!(Auf der Pirsch / G.ブルクハルト / ファランクス, 2005)

前回のレポートはこちら。今回は追加ルールを加えず、トリックテイキングに集中してみたがそれでも十分な楽しさがある。次のラウンドの切り札を見据えてトリックを取るか取らせるか選ぶ選球眼、第1~3ラウンドで足跡カードをほかの人に分散させるテクニック、強いカードで第4ラウンドに臨むための前ラウンドのふるまい方など、考えるところ盛りだくさんである。アンコールに応えて2回遊ぶことになったが、全員コツがつかめた2回目は大接戦。

くいずです(It’s a QUIZ? / 澤田大樹作 / B2FGames, 2007)

あやふやな記憶でクイズ

『造形家倶楽部』『スクウェア・オン・セール』の澤田氏が手がけた新作。立川のゲームショップB2FGamesがメーカーとして初めて『エレメンツ』の再販と共に発売したもので、相当量作ったようなので十分流通すると見られる。
 左側に問題カード、右側に解答カードをランダムに並べる。ランダムだから、「赤ずきんちゃんがおばあさんに持っていったものは何でしょう?」―「やさしさ」なんていう洒落たものから、「ナポレオンがアフリカから祖国に持ち帰ったものは?」―「スペイン」なんていう意味不明なものまでさまざま。これらをとにかく何でも一定時間覚えて、解答カードは一斉に裏返し。
 順番に1問ずつ問題を決めて、その脇に並べられた解答が何だったかを、記憶をたどりながらメモに書く。解答はカードが並んでいる順に覚えているだけ。全部書かなくてもよいが、別の解答を書いたり、順番を間違えたりすると不正解となる。解答しないで裏金をゲットしたり、裏金を使って覗き見をしたりもできるが、得点は正解しないと入らない。
 場に並ぶのはクイズ10問に解答カード30枚だから、全部を短時間で覚えるのはほぼ不可能だ。だから覚えやすそうなものに目星をつけてしっかり覚え、それ以外はうろ覚えで臨むことになるだろう。その記憶の濃淡が、ゲームを作る。この問題なら行ける、自信がない、全く思い出せないというのが、人によって変わるからだ。
 解答された問題のカードは、未解答の問題の後ろに並べられ、列はどんどん伸びる。まともに覚えるならば、後半ほど難易度は高くなるだろう。最後の問題は正解すれば1億点(笑)。
 今回はゲーム会も中盤以降になり、みんなの記憶力が淡すぎてほとんどゲームにならなかった。どの問題でも解答が思い浮かばないか、辛うじて1枚書ける程度なのである。したがって最初に行われる問題選択のビッドもなし。淡い記憶を必死でたどるので頭もウニ。もっと集中力が保てる状況でプレイしてみたい。

バンジー(Bungee / H.シャフィール / アミーゴ, 2007)

前回のレポートはこちら。今回も20分程度でたっぷり堪能できた。ルールは決して少ないとは思わないが、すべての要素が盛り上がれるようにメリハリがついているのが素晴らしい。ツボを心得ているという感じだ。カード運の強ささえ、盛り上がりに一役も二役も買っていると思う。最近発売されたカードゲームの中で一押し。一説には3月までのメビウス便の中で一番という話も。

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