秋葉原水曜日の会 06/08/09

秋葉原水曜日の会 06/08/09

お盆前の秋葉原。ちょうどメビウス便が届いた直後だったので持ち寄る方がいて最新作を遊ぶことができた。そのほかアドルング社のカードゲームを持ち込んで「アドルング祭」をやっている人がいたり、アクワイアやサンファンなどの定番をきっちり遊ぶ人がいたりといったバラエティも面白い。私にとっては少し前の未プレイゲームを消化できるのも大きなメリット。所有ゲームの未プレイ率を下げるのに大いに役立っている。

アルハンブラテラノバ山火事パルス|いろんなもの|ボーナンザカフェインターナショナル・カードゲーム

アルハンブラ(Der Palast von Alhambra / D.ヘン / クイーンゲームズ, 2003)

アルハンブラバザールもマーケティングが必要

詳細はこちら。今回は第3拡張から「おつり」、第4拡張から「バザール」を入れる。
 「おつり」は、定価より2以上多く支払ったときにもらえるコインで、どの通貨になるかは引いてみるまで分からないが1金としてちょうど買いするのに重宝する。ちょうど買いすると追加行動ができるが、ちょうど買いできるかどうかは運次第なので、なかなか手札が合わない人にとって運の要素を緩和するのによい。
「バザール」は、建物に混ざって出てくるタイル。ちょうど買いでのみ建てられる。それだけでは得点にならないが、バザールの周囲8マスに指定された3色の建物を建てると建物数×色数のボーナスが入る。壁の制限などで思い通りになかなか建てられない上に、ボーナスが入るのは最終決算だけなのでそれほど得ではないようだ。
 アルハンブラの拡張はこれまで4作発売され、それぞれに4つずつユニットが入っているので16を数える。カルカソンヌの拡張と同様、全部入れるのではなくて1つか2つを入れて遊ぶのが普通だが、ゲームを劇的に変えるほどのものはないと思う。いずれも微妙に味付けを変える程度。おそらくこれは、少しずつ変化をもたせながら末永くアルハンブラを遊んでほしいという作者の意図だと思う。

 バザールを3つも建てたが、その分建物のボーナスが入りにくくなり2位。1位はバザールを建てなかったカンベさん。先にバザールを建ててその周りに指定された建物を建てるのはかなり難しい。ある程度建物が揃ってから、景観に合ったバザールを後でつけるのが正解のようだ。

テラノバ(Terranova / R.レオカタ&G.エヴォラ / ウィニングムーヴズ, 2006)

虎視眈々と狙う

新天地にやってきた入植者たち。森や草原を囲い込んで、自分のものにしようという囲碁ライクなボードゲーム。作者はイタリア人で、同社からチューチューチュチュチュ(Squeeky)を発表している。
六角形のマスに適当に入植者を配置したらゲームスタート。手番にはまず入植者を1人移動して、次に移動した入植者の周りに壁を置くか、さらにまた入植者を移動する。壁は六角形のマスを塞ぎ、次第にボード上がいくつかのエリアに分かれてくる。
 エリアが確定するのは、壁か外周で囲まれた地形が3種類以下だった場合だ。そこにいる入植者が一番多い人(同数タイなら折半)が得点になる。地形が1種類だけのエリアはマス数×3、2種類ならマス数×2、3種類ならマス数×1。つまり同じ地形のエリアをできるだけ広く囲い込み、かつほかの人に入らせないようにするのが目標。しかし広くすればほかの人が入り込むし、ほかの人を入れないようにすれば狭くなってしまうしのジレンマがある。
 周囲からエリアが埋まってきたら、今度は中央の攻防に移る。残された入植者を同じエリアに集めたりほかの入植者をブロックしたりして、最後のエリアの獲得を狙う。全部のエリアが確定したら終了、一番高い得点を得た人が勝ち。
 漁夫の利のようなプレイヤー間のアヤを除き、このゲームには運の要素が一切ない。しかも移動できるコマの数が多く、それぞれに6つの移動の方向・自由な移動数という選択肢があるわけだから、考えることがやたら多い。囲碁のヨセがあちこちで起こっているようなものだ。
 外側のエリアの戦いを避けて入植者を温存させたが、中央の得点が伸びなくてビリ。頭がヒートアップするので暑いところで遊ぶのには不向きだが、やりこみ甲斐のあるゲームだと思う。

山火事(Feurio! / H.グルンプラー / エアルケーニヒ出版, 2003)

危険を顧みずに

次々と燃え広がる山火事に消防員を派遣して消火活動に努めるゲーム。インパクトのある箱絵はF.フォーヴィンクルが描いた。
 山火事は3枚のタイルから始まる。手番にはまずタイルを1枚引いて、火事の一番激しいところ(隣り合うタイルの合計が一番高いところ)に配置する。ついで手元から消防士を外辺にある好きなタイルの上に配置。タイルによって3人まで消防士を置くことができるが、そのタイルの外辺の数だけしか入れない。
 目標は、できるだけ多くの連続したタイルに自分の消防士を配置すること。ゲーム終了時には、連続したタイルの合計数÷最後に外辺にある最小タイルで得点される。いくら激しい山火事に消防士を送り込んでも、外辺がなく閉ざされてしまっては消火できず焼死してしまう。山火事の広がり方(次にどこにタイルが置かれるか)を予測しながら、逃げ道を確保した上で激しい山火事にアタックしたい。もちろん、ほかの人の消防隊は分断したり火事の中に閉じ込めたりといった邪魔もお忘れなく(ヒドイ)。
 2つぐらいに分散して消防隊を派遣するというリスク回避型と、1つのエリアに集中するハイリスクハイリターン型の戦い方が考えられるが、いずれにしても火事の大きさ(=タイルの引き)にはかなり翻弄される。そのままならなさが山火事の消火活動らしさをうまく表しているのだが、ゲームとしては考えてもしょうがないことが多い。感じろ!

パルス(Puls / A&M.デッテルバッハ / アドルング, 1999)

敏捷性

矢印で指定されたプレイヤー同士がいち早くカードをプレイして早く手札をなくすカードゲーム。アドルング社のカードゲームは全部サイズが同じだが、フェレータのようなじっくり遊ぶものからこのような短時間ゲームまでさまざまあり、中でも短時間ゲームはほかのメーカーに見られない独特の味わいがあるといえるだろう。
スタートプレイヤーからカードを1枚、テーブルの中央に出す。カードには矢印と数字が書いてあって、矢印で指定された人が次にカードを出す番だ。矢印は「両隣」「右2人」「右の人以外全員」などあり、対象になった人たちの中で一番早く出さないといけない。ゲームのテーマはピンボールだが、手番プレイヤーがめまぐるしく変わるところがそういう感じだ。
 しかし出すカードは前に出された数字の倍数でも約数でもなく、かつ色も違うもの。つまり青の6だったら、2、3、12と青のカードを出してはいけない。出してしまったらペナルティでマイナス3点。
手札が3枚になったらストップをかけることができ、その時点で残った手札とペナルティがマイナスになる。人数分ラウンド繰り返して失点の最も少ない人が勝ち。
じっくり確認していてはほかの人に先を越され、急ぎすぎては間違ってしまう。パターン認識と早い者勝ちのゲームなので得手不得手はだいぶあるようだったが、焦り自体を楽しむゲームとしてはイケている。私は色の認識が遅いようで、同じ色のカードを何度か出してペナルティーを食らってしまった。

ボーナンザ(Bohnanza / U.ローゼンベルク / アミーゴ, 1997)

ゆるい交渉がお気に入り

交換や授受でマメを揃えて植え、高い収益を上げるカードゲーム。1997年のドイツ年間ゲーム大賞ノミネート、アラカルト・カードゲーム賞1位、ドイツゲーム賞5位を受賞し、作者ローゼンベルクの知名度を一気に上げたゲームで、アミーゴ社ではこの年から多人数拡張(1997)、ラ・イスラ・ボーニタ(1998)、スペースビーンズ(1999)、アル・カボーネ(2000)、ハイボーン(2001)、ボーナパルト(2004)、ボーンキック(2006)とシリーズ化し、一方ローゼンベルクが参加している私企業のルックアウトゲームズでも2000年からハイボーン(2000)、ムタボーン(2001)、レディボーン(2002)、ジンギスボーン(2003)、ボーナパルト(2003)、テレボーン(2004)、ラボーンツェル(2005)と、これからも続きそうな勢いである。系統の異なるスペースビーンズとボーンキックを除いて10本、ついつい集めたくなってしまう。

手番には手札からマメカードを1枚出して、自分の前に植える。さらにもう1枚、植えたければ植えてもよい。そして山札から2枚めくり、それを交換したりただであげたりもらったりしながら自分の欲しいマメを集めてまた植える。3枚補充して手番終了。
 このゲームの画期的なところは、「手札の順番を入れ替えられない」という簡単かつシビアなルールだ。しかし自分の前の畑はたったの2列で、一度に2種類までしかマメを育てられない。集めていないマメが手札の中にあったり山札から出てきたりして、誰も引き取ってくれなかったら、今植えているマメを収穫して新しく植えなければならない。収穫すれば収入になるが、枚数が少ないと収入なしなんてことも。同じマメをたくさん植えて、高い収入を上げた人が勝者となる。
だから、いらない豆はそれを集めている人と交換したり、場合によってはただであげたりして整理しよう。「誰か、このマメを引き取ってくれませんか?」「あ、ほしいほしい。じゃあこのマメと交換でいいよ」……マメの種類は8種類もあるから、いらない豆に当たることは多い。積極的に交換や贈与をもちかけるのがこのゲームではとても大事だ。
 だが交換にしても贈与にしても、共存共栄が原則。一方的に相手が得をするような交換なら、いっそ自分で植えてしまったほうがよいかもしれない。ただし、共存共栄といってもマメの価値は種類によって違うし、その人が何枚集めているかによっても変わるから、厳密に対等な交渉はまずない。自分が2ターラー(お金の単位)儲かるところで、相手に3ターラー儲けさせるのはありか? 「もう1枚ない? あったら交換するよ」「ないけど、こっちのマメならどう?」……この見極めが交渉を生み、ゲームを面白くする。
 もっとも、損得の見極めは容易ではない。「何となく得かな、それとも損かな」というレベルで直観的に交渉することが多い。さらに相手に気前のよさをアピールして、次のチャンスを引き出すという中長期的な戦略もとりうる(でも将来の約束を守る必要はない)。その自由度の高さが、このゲームを何度遊んでも飽きない理由だと思う。
ちなみに3番目の畑を購入すると、一度に3種類のマメを植えられるようになる。しかし購入代金が馬鹿にならないから、4,5人で遊ぶときはあまり購入されないことが多いようだ。

 ときに気前よく、ときにセコイ交換と贈与をして私が娯楽堂さんと鼻の差で1位。カンベさんは気前がよすぎてあまり儲けられなかったようだ。交換の機微も楽しいが、植える・育てるというテーマ自体、農耕民族の性分に合っているのかもしれない。

カフェインターナショナル・カードゲーム(Cafe International – Das Kartenspiel / R.ホフマン / アミーゴ, 2001)

アメリカのテーブル来た~!

1989年にドイツ年間ゲーム大賞を受賞したカフェ・インターナショナルのカード版。大賞を受賞したのはマテル社だが、10年後の1999年にアミーゴ社がボード版を再販。カード版はその2年後に発売された。
 国別のテーブルに男女仲良く座らせていくというテーマはボード版と共通だが、捨て札置き場のカウンター席がなく、またどこにでも置けるジョーカーもない。その一方でテーブルが4人埋まるたびに更新され、構成が変わっていくようになっている。カードのカウンティングなどし始めれば別だが、手札も非公開だし、このような変更からカードゲームらしい気楽な感じになったと思う。
 少しパズルのようなところもあるが、慣れれば手札に置けるカードが1枚もないことはすぐ分かる。置けなかったら1枚引き、手札が12枚になったらもう引けずに1枚捨ててマイナス2点。
 手札が12枚になる頃には、同じ国の男女が揃ってくることだろう。そのタイミングでその国のテーブルカードが来たらラッキー。一度にバ~ンと置いて、高得点をものにしよう。ボード版と同じく、同じ国の男女で揃えられたら得点が2倍になるのだ。

 手札とテーブルが合わなくて苦しむプラティニさんをよそに、私はほどよく置けるカードが引けた。娯楽堂さんも苦しんでいたが、中盤で大得点をものにして1位。まるでくじ引きをしているような感じではあった。

上へ前回のゲーム会レポート一覧トップページ